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2024.08.29

【2024年全日本学生選手権・特集】高校時代の基礎づくりが開花、初の全国王者に輝く…男子グレコローマン72kg級・本名一晟(育英大)

 

 2024年全日本学生選手権。昨年は双子兄弟対決で関係者の注目を集めた男子グレコローマン72kg級の本名一晟(育英大)が、今年は5試合を勝ち抜いて優勝。高校(山梨・韮﨑工高)時代は一度も全国王者になれなかったところからはい上がり、初の全国優勝を成し遂げた。

 昨年、バトバヤル・ナムバルダグワが男子フリースタイル125kg級で同大学初の王者に輝いたが、日本人選手としては、今大会の本名と60kg級・五味虹登が初の学生王者(注=時間的には五味の方が早い)。育英大は女子だけではなく、男子でも躍進していることを印象づける結果となった。

▲学生王者に輝いた本名一晟。育英大は女子だけではないことをアピール!

 本名は、初の全国制覇に「すごくうれしいです」と第一声。昨年は決勝まで進みながら、三田見明(拓大)に3-6で敗れ、初戴冠はならなかった。今だから口にできるのだろうが、「決勝に行けて満足していた部分がありました」と、勝利への執念が欠けていたことを吐露した。

 今回は違った。3年生になって大学生活の折り返し点を過ぎ、「ひとつ、ひとつの試合を大切にしたい。勝つことに徹して取り組みました」と、同じ決勝の舞台とはいえ、気持ちはまったく違っていたことを明かした。

いったんは相手の勝ちとなった決勝戦

 その決勝の相手は、今年のU23世界選手権代表に内定している小野健作(日体大)。5月の明治杯全日本選抜選手権では2-3で敗れており、そのリベンジ戦でもあった。第1ピリオドを2-1で折り返し、第2ピリオド中盤に4点となるリフト技を決めて7-1と順調に試合を進めたが、続けて仕掛けた2度目のリフト技を失敗して4失点。加えて、首を痛めるアクシデントに見舞われた。

▲小野健作(青=日体大)のリフト技で首から落ちた本名。周囲も心配したが、無事に試合再開=撮影・保高幸子

 担架が用意され、試合続行不可能かと思われたが、本人の意思とドクターの判断で再開へ。2点差に追い上げた小野の終盤の攻撃は激しく、本名は耐え続けたものの、ラスト4秒63で場外に出てしまい1点差。小野は逆転を目指してさらに猛攻撃を仕掛け、タイムが「0」になったとほぼ同時にテークダウンを取って、レフェリーは2点を挙げた。

 逆転勝利に喜ぶ小野。しかし、チェアマンが小野のバッティング(頭突き)をとり、このポイントは無効。小野陣営のチャレンジでも判定は変わらず、本名の手が上がった。「油断はなかった。相手の圧を受け切るつもりだったが、脚がもつれてしまって…」と、そのシーンを振り返る本名は、地獄から天国への生還に「よかったです」と安堵の表情を浮かべた。

▲終了と同時にテークダウンを奪った小野。逆転優勝に喜んだが…=撮影・保高幸子

▲ビデオチェック判定を経て、勝利は本名へ。目を潤ませて喜んだ=撮影・保高幸子

古豪県に一筋の光明が差す学生王者誕生

 パリ・オリンピックの男子グレコローマンは、日本代表2選手(文田健一郎、日下尚)が優勝し、日本のグレコローマン選手へ大きな刺激を与えた。本名もその影響は否定しなかったが、育英大から女子2選手(櫻井つぐみ、元木咲良)が優勝したことも大きなエネルギー。「2人の先輩からパワーをもらいました」と振り返った。

 本名の父(栄仁さん)と母(亜里さん=旧姓鈴木)も学生チャンピオンに輝いており、親子3人が学生一となったのは初めてのケース。中学までは父が新潟市で運営しているキッズ・クラブで練習しており、新潟県出身選手としては、父が優勝した1997年以来、27年ぶりの学生王者だ。

 新潟県を離れて山梨・韮崎工高にレスリング留学をしたのは、「グレコローマンで強くなりたい」という気持ちからの選択であって、新潟県を“捨てた”わけではない。「新潟県から久しぶりのチャンピオンと聞いて、うれしかったです。これで、新潟県のレスリングを引っ張れるかな、と思いました」と言う。

▲結果として貴重なポイントとなった4点リフト技=撮影・保高幸子

 参考までに、国内2位となるのべ14人のオリンピック選手を輩出している新潟県出身の最後のオリンピアンは、1992年バルセロナ大会の原喜彦(現全国高体連レスリング専門部理事長)。全日本王者は2000年の関川博紀(現新潟・八海高教)、世界選手権代表は2007年の萱森浩輝を最後に途絶えている。古豪県に一筋の光明が差した優勝と言えるだろう。

 本名は、高校3年間では全国高校生グレコローマン選手権2位が最高で、全国王者に手が届かなかったが、「その3年間で積み重ねてきたものが大きかったのかな、と思います」と振り返る。確固たるベースの上に、大学で松本隆太郎コーチ(2012年ロンドン・オリンピック3位)の指導を受けて花開いた学生チャンピオン。学生王者を達成したあとの今年の目標を聞くと、「12月の全日本選手権で優勝することです」ときっぱり-。







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