9月2日からスペイン・ポンテベドラで始まったU20世界選手権に出場する男子フリースタイル・チームが9月2日、羽田空港から出発した。同スタイルは6日(金)~8日(日)に行われる。
一昨年は「金1・銀1・銅1」を獲得。昨年は「金1・銀1」ながら、全体的に好成績で国別対抗得点は前年の7位を上回る4位に躍進。世界で十分に通用する結果を残している、米満達弘コーチ(自衛隊)は「代表メンバーの中には全日本チャンピオンもいて、いい結果を残す実力を持っているチーム」と、昨年までの好成績の流れに乗っての成績を目指す。
ただ、「海外のチームもハイレベルの選手が出てくるのが世界選手権。気を抜かず、1試合、1試合を全力で闘うことを意識して臨ませたい」と言う。経験を積むべき世代でもあるので、結果を求めることだけでなく、「いかにして次につなげていけるかも考えた闘いをさせたい」と期待した。昨年の結果にこだわらず、「持っている実力をすべて出してほしい。出せるようにサポートしたい」と話した。
昨年の世界王者(57kg級・西内悠人)を61kg級の予選(JOCジュニアオリンピック)で退けて出場する小野正之助(山梨学院大)は「西内選手は(一昨年も優勝していて)世界で活躍できる選手です。自分は、まだそんな選手ではない。西内選手がチャンピオンになったから、自分もなれる、というものではない」と話し、ライバルとの比較ではなく、自分自身、やるべきことをしっかり出して闘うことを強調した。
今年3月の「ヤシャ・ドク&ベービ・エムレ国際大会」(トルコ)で優勝し、4月のアジア選手権(65kg級=キルギス)で3位となり、シニアの国際舞台でも通じる技量を持っているのは間違いない。それを言われると、「シニアの65kg級でそこまでできるということは、U20の61kg級なら優勝が最低条件になるかな、と思います」と話し、気を引き締めた。
この大会、さらに来月末に行われる非オリンピック階級の世界選手権(アルバニア)に向けて集中するため、先月末の全日本学生選手権は欠場した。それだけ世界一への気持ちが強いわけで、日本男子選手ではだれも達成していないU20とシニアのW世界チャンピオンへ向けて、“第1戦”をしっかり勝ち抜く腹積もりだ。
チームで唯一、高校生で出場するのが125kg級の藤田宝星(埼玉・花咲徳栄高)。今年は全国高校選抜大会、JOCジュニアオリンピック(JOC杯)、インターハイ、全国高校生グレコローマン選手権と勝ち続けており、その勢いを持ち込みたいところ。「一番若いわけですけど…。頑張りたいです」と健闘を誓う。
昨年はU17世界選手権に出場し、1回勝っての8位。世代は上になるが、今年はそれ以上を目指したいところ。しかし、「最低でもメダルが目標です。1試合ずつ、しっかり勝っていきたい」ときっぱり。JOC杯や全国高校生グレコローマン選手権で見せた豪快なバック投げは、従来の日本選手にはなかったパワー十分の決め技。
パリ・オリンピックでは日下尚(三恵海運)が日本最重量級となる77kg級で優勝。日本の重量級が徐々に世界で通じてきていることは、「自分でもできる、という気持ちになります」と言う。自分より体格が大きい選手が相手でも、「気持ちで負けずに闘います」と気合を入れた。
大会スケジュールと日本選手団は下記の通り。
9月2日(月)男子グレコローマン55・63・77・87・130 kg級/1回戦~準決勝
3日(火)前日実施階級の敗者復活戦・ファイナル
男子グレコローマン60・67・72・82・97 kg級/1回戦~準決勝
4日(水)前日実施階級の敗者復活戦・ファイナル
女子50・55・59・68・76 kg級/1回戦~準決勝
5日(木)前日実施階級の敗者復活戦・ファイナル
女子53・57・62・65・72 kg級/1回戦~準決勝
6日(金)前日実施階級の敗者復活戦・ファイナル
男子フリースタイル57・65・70・79・97 kg級/1回戦~準決勝
7日(土)前日実施階級の敗者復活戦・ファイナル
男子フリースタイル61・74・86・92・125 kg級/1回戦~準決勝
8日(日)前日実施階級の敗者復活戦・ファイナル
【チームリーダー】馬渕賢司(岐阜・恵峰学園職)
【男子グレコローマン監督】藤村義(自衛隊)、【同コーチ】成瀬一彦(岐阜・中津商高教)
【女子監督】正田絢子(京都・丹後緑風高教)、【同コーチ/男子フリースタイル監督】小平清貴(警視庁)
【男子フリースタイル・コーチ】米満達弘(自衛隊)
【ドクター】長尾卯乃(東京都立駒込病院)、【トレーナー】梶尾安正(あみ鍼灸整骨院)
【帯同審判】増田莊史(香川・多度津高教)、本田原明(自衛隊)、針谷豊(群馬・西邑楽高教)
【男子グレコローマン】
▼55kg級 森下大輔(日体大)
▼60kg級 金澤孝羽(日体大)
▼63kg級 八隅士和(東京・自由ヶ丘学園高)
▼67kg級 長谷川虎次郎(育英大)
▼72kg級 菊田 創(青山学院大)
▼77kg級 高橋侑臣(育英大)
▼82kg級 吉田泰造(香川・高松北高)
▼87kg級 掛川零恩(早 大)
▼97kg級 菊地一瑳(明 大)
▼130kg級 岩﨑和志(中 大)
【女子】
▼50kg級 森川晴凪(至学館大)
▼53kg級 弓矢紗希(日体大)
▼55kg級 本多香里菜(神奈川大)
▼57kg級 内田颯夏(JOCエリートアカデミー/東京・帝京高)
▼59kg級 尾西 桜(日体大)
▼62kg級 伊藤 渚(日体大)
▼65kg級 池畑菜々(育英大)
▼68kg級 持永聖愛(南九州大)
▼72kg級 坂井 愛(岐阜・岐阜工高)
▼76kg級 吉田千沙都(三重・白山ガールズ)
【男子フリースタイル】
▼57kg級 松村祥太郎(専 大)
▼61kg級 小野正之助(山梨学院大)
▼65kg級 細川 周(日体大)
▼70kg級 山下凌弥(日体大)
▼74kg級 安藤慎悟(山梨学院大)
▼79kg級 神谷龍之介(日体大)
▼86kg級 淺野稜悟(中 大)
▼92kg級 金澤空大(早 大)
▼97kg級 甫木元起(日体大)
▼125kg級 藤田宝星(埼玉・花咲徳栄高)