スペイン・ポンテベドラで行われているU20世界選手権に出場した男子グレコローマン・チームが9月6日、羽田空港に帰国した。「銅2」を獲得し、2015年から続いているメダル獲得の伝統は守った。
藤村義監督(自衛隊)は「全般的に見て、(一方的に)負けてはいなかった」ときっぱり。ひとつの技を受けて一気にポイントを重ねられるケースもあったが、勝敗を分けたのは「ちょっとしたこと」が多かったと言う。その“わずかの差”を埋めるため、反復練習を積んで努力していくことが必要で、「そうしていけば、勝てるようになる」と言う。
メダル獲得が続いていることについては、この世代ともなるとグレコローマンの練習も多くなり、欧州との差は縮まっているからと予想される。同監督もそれは否定しなかったが、「外国選手もキャリアを積んで同じようにレベルアップしていく。追いつくには、それ以上の練習をやらないとならない」とも言う。選手は、得意なことについては積極的に反復練習するが、苦手なことの反復練習は避ける傾向があるので、「苦手の部分も努力していく選手が、世界で勝てる選手に育つ」と話した。
成瀬一彦コーチ(岐阜・中津商高教)は「選手は全員、よくやってくれました。メダルを取った選手は、当然、素晴らしい試合が続きましたが、負けた選手も紙一重の差が多かった」と言う。セコンドのアドバイス次第で勝敗が変わる可能性が感じられた試合もあり、「われわれ指導者も、しっかり勉強しないとなりません」と振り返った。
国際大会は、やはり日本で行われている試合と流れが違うので、「海外バージョンと言いますか、国際大会ならではの展開に対応できる動きを身につけてほしい」とリクエスト。経験することでしか分からないので、数多くの国際大会をこなすことが一番だが、そうもいかないので「日本へ持ち帰ってから各所属で工夫して練習してほしい。これまでと同じ練習だと、結果は変わらない。高い意識をもって練習すれば必ずいい結果につながると思う」と話した。
■67kg級3位・長谷川虎次郎(育英大)「去年のこの大会が2回戦負け。そのときから、来年は必ず優勝するという気持ちで練習してきました。それだけに準決勝で負けたときは、悔しかったです。でも、先生方やチームメートに励まされ、3位決定戦を頑張ることができました。ラスト30秒で逆転した厳しい試合でしたが、練習でやってきたことが出ての勝利だったので、そこはよかったです。
(負けた試合は昨年の63kg級王者で)自分の実力を出す前に終わってしまったという気持ちもあります。圧がすごかった。外国選手と渡り合えるくらい、もっと努力する必要性を感じました。秋は、全日本大学グレコローマン選手権、全日本選手権と続きます。そこで優勝できるように頑張りたい」
■82kg級3位・吉田泰造(香川・高松北高)「準決勝は、ひとつのミスからポイントを続けざまに取られてしまいました。ステップアウトで先制され、そこから攻め急いでしまってミスが続きました。ひとつのミスが大きくなることを感じ、勝負は難しいと思いました。82kg級で闘うには、まだ体ができていないことも痛感しました。このままでは外国選手に力負けしてしまいます。
(負けた相手はシニアの欧州王者だが)ボクもシニアのアジア・チャンピオンです。勝てないことはない、と思って臨みましたけど、やはりレベルが高かったです。負け惜しみになってしまいますが、スコアほど実力差はなかったと思います。(自身が代表内定している10月末の)非オリンピック階級の世界選手権にも出てくると思いますので、そこでは勝ちたいと思います」