全国高校体育連盟は今月初め、令和6年度の各競技の登録選手数を発表。レスリングは、男子が前年から27選手減の「1,695選手」(-1.6%減)、女子は20選手増の「250選手」(+8.7%増)だった。
全競技の合計は、男子が前年から4,312選手減の「68万3,170選手」(-6.3%)、女子が1万1,586選手減の「36万7,125選手」(-3.1%)。レスリングの男子は健闘、増加した女子は大健闘と言える。
レスリングの実施校は、男子が10校減の「220校」(ー4.3%)、女子が4校増の「110校」(+3.8%)だった。(関連記事1 / 関連記事2)
登録選手数を都道府県別に見ると、男子は1位が宮崎県(70選手=-9選手)、2位が三重県(68選手=+9選手)と東京都(68選手=+8選手)、4位が愛知県(63選手=-5選手)。女子の1位は東京都(27選手=+3選手)、2位は静岡県(14選手=+5選手)と兵庫県(14選手=+2選手)、4位は群馬県(10選手=+3選手)と宮崎県(10選手=-5選手)だった。
昨年度は、大阪府と愛媛県で女子が「0」だったが、今年度は大阪府が「7選手」、愛媛県が「4選手」と“不毛県”を脱出。一方、宮城県、福井県、奈良県が「0」となり、47都道府県で女子選手がいる状況はならなかった。
少子化のため、競技人口の減少は「やむをえない」との声もあるが、フェンシングは2017年に就任した当時31歳の太田雄貴会長(日本初のフェンシングオリンピック銀メダリスト・2015年世界王者)が「人気向上は競技人口の増加につながり、めぐりめぐって競技力の上昇に結びつく」と、優先順位のトップをオリンピックの金メダルではなく、人気獲得の方針を示し、コロナ前の2019年度に「男子1,388選手、女子998選手」だった選手数が、今年度は「男子1,545選手、女子1,175選手」と、この5年間で「計334選手」も増やした。
昨年度から今年度にかけては、陸上男子が1,388選手増やして6万2,005選手とするなど(女子は1,623選手減で3万519選手)、選手数を増やしている競技も少なからずある。少子化を理由に、競技人口の減少に手をこまねいていてはなるまい。
参考までにレスリングは、2019年が「男子2,101選手、女子276選手」で、コロナをはさんでの5年間で、男子が「406選手減」、女子が「26選手減」で、合計「432選手減」となっている。
レスリング専門部の千葉裕司部長(神奈川・釜利谷高教)は「少子化の中、この程度の減少にとどまっているのは、各都道府県での取り組みの成果だと思います。今後は、前年より1名でも増やす、との目標でやっていただきたい」とコメント。同部の原喜彦理事長(新潟・県央工高教)は「インターハイのときにも(競技人口の)話が出た。積極的な情報発信で生徒をレスリングに引きつけたい」と話した。
格闘競技および全競技の最近5年間、および昨年度から今年度の増減は下記の通り(増加している競技~減少率の高い競技の順)。
男 子 | 2019年度 | 2023年度 | 2024年度 | 5年間の増減(右は比率) | |
フェンシング | 1,388 | 1,610 | 1,545 | +157 | +11.3% |
ボクシング | 1,907 | 2,050 | 2,000 | +93 | +4.9% |
空 手 | 4,903 | 4,471 | 4,346 | -557 | -11.4% |
剣 道 | 24,298 | 19,750 | 19,694 | -4,604 | -18.9% |
レスリング | 2,101 | 1,722 | 1,695 | -406 | -19.3% |
相 撲 | 951 | 771 | 753 | -198 | -20.8% |
柔 道 | 14,001 | 10,825 | 10,906 | -3,095 | -22.1% |
全競技 | 762,554 | 687,482 | 683,170 | -79,384 | -10.4% |
女 子 | 2019年度 | 2023年度 | 2024年度 | 5年間の増減 | |
フェンシング | 998 | 1,140 | 1,175 | 177 | +17.7% |
レスリング | 276 | 230 | 250 | -26 | -9.4% |
空 手 | 3,651 | 3,314 | 3,280 | -371 | -10.2% |
剣 道 | 14,137 | 12,036 | 12,026 | -2,111 | -14.9% |
柔 道 | 3,903 | 3,230 | 3,241 | -662 | -17.0% |
全競技 | 429,226 | 378,713 | 367,127 | -62,099 | -14.5% |