並外れたパワーは125kg級でも通用した-。2024年全日本大学選手権の125kg級は、一昨年と昨年の97kg級を制し全日本王者でもある吉田アラシ(日大)が、この階級の学生王者らを撃破して優勝。最重量級でも通用する実力を見せて、2階級にまたがっての3年連続優勝を達成した。
3回戦で昨年優勝のモンゴルからの留学生、バトバヤル・ナムバルダグワ(育英大)と対戦。今年8月の全日本学生選手権も制していた選手なので、大きなヤマだった。だが、豪快なタックルから一気に押さえ込み、1分47秒、フォールで撃破。押す力、タックルで倒す力、押さえ込んでフォールへ持っていく力のどれをとっても破壊力は十分。
準決勝で、本来は吉田と同じ97kg級で昨年の全日本学生選手権2位の丸山政陽(日体大)にフォール勝ち。決勝はカザフスタンからの留学生のアビレイ・ソビィット(山梨学院大)を相手に終始攻勢を取ってのテクニカルスペリオリティ勝ち。全4試合で失ったポイントはなく、常に攻めての優勝だった。
吉田は「課題は見つかりましたけど、優勝できたことに安心しました」と2階級制覇の第一声。この階級は2人の留学生(ナムバルダグワとソビィット)が覇権を争っている状況で、その中に挑むことに不安があったことは確かだと言う。チームメートの藤田龍星(今回は97kg級に出場)も2人には分が悪い状況。吉田の通常体重は97kgで、125kg級で闘うには体格的にも不利。「大会前は心配があったし、緊張もしました」と言う。
実際に闘ってみて「(相手は)重たかったですね」と言う。そこで、組み手をうまく使って崩すなどして攻撃の活路を見いだし、「勝利につなげることができた」と振り返る。相手のバランスを崩したからこそ、前へ出る圧力が通用したのかもしれないが、125kg級の選手を相手にしても前へ前へと攻め、下がることがなかった。「125kg級でも(前に出る圧力が)通用するのが分かって、よかったです」と言う。
昨年のこの大会(97kg級)の決勝で五十嵐文彌(山梨学院大)を5-3で破ったあと、この1年間、国内では社会人選手相手やグレコローマンの試合を含めて20試合連続でフォールかテクニカルスペリオリティでの勝利を継続中。ここまでの強さを見せられると、もっと筋力をつけ、減量のない125kg級で闘う可能性も考えられるが、「やはり97kg級ですね。目標はアジアや世界で勝つことですから」とのこと。12月の天皇杯全日本選手権はこれまでと同じ階級に出場し、来年の世界への飛躍を目指す腹積もりだ。
パワーは125kg級の外国選手(留学生)にも通用したので、必要なことは技術面であり外国選手の闘い方への対応。「世界には、日本やアジアの選手とは違うスタイルの選手が多い。いろんなタイプの選手と闘えるように練習していきたい」と話し、気持ちは全日本王者を飛び越えて世界への挑戦-。