10月末の2024年非オリンピック階級世界選手権(アルバニア)の男子フリースタイル92kg級で優勝したアブデュラシド・サデュラエフ(ロシア=28歳)が、地元のポータルサイトのインタビューに「まだ引退するつもりはない。年齢と体力を考えれば、まだ闘える」と答え、2028年ロサンゼルス・オリンピックを目指す可能性を示唆した。
同選手は2014年世界選手権の86kg級に「18歳4ヶ月」で初優勝。翌2015年にも勝ち、10代にして2度の世界王者に輝いたあと、2016年リオデジャネイロ・オリンピックも制した。2017年世界選手権は97kg級に上げて2位だったが、2018・19年の世界選手権に勝ち、2021年は東京オリンピックと世界選手権の双方で優勝した。
ロシアのウクライナ侵攻への制裁として2022年世界選手権は出場できなかったあと、2023年にAIN(中立)選手として出場。脊髄の故障もあって5位に終わった。治療のうえ、今年のパリ・オリンピックで3度目の優勝を目指したが、国際オリンピック委員会(IOC)の決定によって出場はかなわなかった。世界レスリング連盟(UWW)はAIN選手としての出場を認めたため、階級を92kg級に下げ、通算8度目の世界一に輝いた。
今年の世界選手権では、1回戦で昨年の86kg級世界王者のデービッド・テーラー(米国)を7-0で撃破。昨年の92kg級世界王者カムラン・ガデムプール(イラン)との準決勝は、ラスト30秒で1-3とリードを奪われながら、ラスト3秒に回り込んでテークダウンを奪い、逆転で勝利(上写真)。決勝も勝って6度目の優勝を遂げた。
8度の世界一と銀メダル1個は、男子フリースタイルではセルゲイ・ベログラゾフ(ソ連)、アルセン・ファザエフ(ソ連)と並んで歴代4位タイ。
2023年世界選手権と今年のパリ・オリンピックは、ダゲスタン共和国のレスリング・チームの後輩となるアフメド・タジュディノ(元はロシア国籍だが、国際大会への出場は当初からバーレーン)が世界一に輝いており、ロサンゼルスでは先輩後輩の金メダル争いが見られるか?