世界レスリング連盟(UWW)は11月11日、国籍変更に関する規定を、従来より厳しい内容に変更し、各国に通達した。先月末にアルバニアで行われたUWW総会で決定された。
国籍変更については、多くの選手がより柔軟な要件の下、移住先の国で選手生活を続けることができるよう、2014年に現在の規定が採用された。
しかし、家族や仕事、その他の理由で移住した選手のためではなく、連盟によって有利になるために過度に使用されていることが見受けられ、それが多くの国の参加と発展に悪影響を及ぼすマイナス面が生じたと判断。オリンピック憲章の原則に沿った厳格なルールを採用した。
これまでは、規定を満たしていれば、1つの国内連盟において国籍変更の人数制限はなかったが、新ルールでは、新国籍の国(変更を受け入れる側の国)について1年に1回、あらゆる世代を通じて男女各1選手のみとなる(例:シニア男子フリースタイル1選手+U20女子1選手)。旧国の選手としてオリンピック、大陸選手権、各種の国際選手権、カップ大会、地域競技会への最後の参加から 3年間は国際大会に出場していないことが条件。
世界選手権などにおける新しい国籍選手の出場選手数が制限され、2027年と2028年に予定されているロサンゼルス・オリンピック予選で新国籍の選手が出場できるのは「2選手まで」(注=明記はされていないが3スタイルの合計と思われる)などとなっている。
国籍変更の受付期間は10月1日から12月20日まで。すべての条件が満たされた場合、翌年 1月1日に発効され、新しい国籍で試合に参加できる。2025 年の申請は、例外的に 2025 年1月19日まで受け付けけられる。
今夏のパリ・オリンピックでは、291選手中43選手が国籍変更選手(男子フリースタイル31選手、女子2選手、男子グレコローマン10選手)。ロシアからの変更がもっとも多く、24選手にのぼった。男子フリースタイル74kg級では18選手中、元ロシア選手が6選手だった(合計8選手が国籍変更選手)。