(文・撮影=布施鋼治)
育英大の快進撃が止まらない。先月、全日本大学グレコローマン選手権で初の団体優勝を遂げたばかりだの育英大が、11月24日に東京・自由ヶ丘学園高校体育館で開催された「2024年度第6回東日本大学女子リーグ戦STIカップ」で4戦全勝をマークし、3連覇を達成した。
櫻井はなの主将(4年)が53㎏級と59㎏級を行き来しながら3戦全勝(日大相手の不戦勝も含む)と安定した力を発揮したことも大きかったが、最大の勝因は、事実上の決勝となった最終戦の日体大との試合で53㎏級に清岡もえ(3年)、76㎏級に石井亜海(4年)を起用する最強の布陣を組んだことに尽きる。
2人は先月下旬の非オリンピック階級の世界選手権で優勝したばかり。石井に至っては、同選手権の直前に開催されたU23世界選手権も制している。
案の定、ふたりの実力は突出していた。清岡は第1試合の神奈川大戦と最終戦の日体大戦に出場した。後者の大野真子(4年=2023年U23世界選手権53kg級優勝)戦では、後半逆転を狙う大野に激しく追い上げられたが、中盤までに獲得した5ポイントを守り抜く手堅い試合運びで優勝に貢献した。
「絶対に3連覇を達成するという思いで挑みました。チームとしてしっかり勝ち切ることができたのはうれしかったけど、自分の試合内容はあまりよくなかった。悪かったところは課題として取り組んでいきたい」
大会後、パリ・オリンピック53㎏級金メダリストである藤波朱理(日体大)が来年から57㎏級に転向することを宣言した。非オリンピック階級の55㎏級を主戦場にしてきた清岡はどうするのか。
「12月の天皇杯(全日本選手権)は55㎏級で出場する予定です。ロサンゼルスに向けては53㎏級でやっていくつもり。まだこの階級にだれが来るか分からないし、そんなに甘くはないと思うけど、自分にもチャンスはあると思っています」
一方、76㎏級の石井は、日体大戦で実現した全日本選抜選手権59kg級優勝の尾西桜(1年)との一戦が期待にたがわぬ熱戦になった。前半は尾西の果敢なアタックに守勢を余儀なくされる場面もあったが、最後は相手ががぶり返しを狙ってきたところを逆にがっちりと押さえ込みフォール勝ち。かつて石井は詰めの甘さを指摘されることも多かったが、それを払拭したうえでの勝利だった。
「わたしにとって、大学の団体戦はこれが最後。感慨深いものがありました。U23と世界選手権からの連戦という意識はなかったけど、チームに貢献しようと思って出場しました。(日体大戦は1勝1敗の後、石井がトリで出場し)自分が勝たないとまずかったじゃないですか。そういう状況も楽しめるくらいには成長したのかな、と思います」。
12月の全日本選手権は、これまで通り68㎏級に出場する予定と言う。それぞれの思いを胸に秘めながらのリーグ戦だったか。