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全日本女子チームが“虎の穴”で世界選手権前最後の合宿スタート

(文・撮影=増渕由気子)

 世界選手権(9月8~14日、ウズベキスタン・タシュケント)とアジア大会(9月27日~10月1日、韓国・仁川)の代表を含む全日本女子チームが8月17日、“女子レスリングの虎の穴と言われる”新潟・十日町市の桜花道場で合宿をスタート。18日、報道陣に練習を公開した。

 吉田沙保里(ALSOK)や浜口京子(ジャパンビバレッジ)など世界選手権代表とアジア大会代表の計9人(3人は両大会の代表)が全員勢ぞろい。ブラジルの世界選手権代表4名が加わり、選手、コーチ陣などあわせて総勢50名以上が参加する熱気ある合宿となった。

 今年の世界選手権は、昨年の大会から階級変更があり、女子7階級から8階級に増枠された。そのため、吉田や伊調馨(ALSOK)などの固定メンバーが選ばれつつ、若手選手にもチャンスが広がった。

 世界選手権とアジア大会の全12階級は、若手とベテランがうまく配置するメンバー構成となったため、栄和人監督(日本協会強化委員長)は「今年のナショナルチームは、過去と比べてもトップクラスのチーム編成となっていると思う」と、2年後のリオオリンピック前に完成度の高いメンバーがそろって満足そう。

 さらに「うれしいのは、53kg級の向田真優(東京・安部学院高)や、58kg級の川井梨沙子(至学館大)など、ベテランがいる階級の2番手がすごく伸びてきていること。うれしい悲鳴です」と話した。

 痛手なのは、昨年48kg級で世界初優勝を達成した登坂絵莉(至学館大)の首のけが。栄監督は「登坂が首を痛め、手がしびれたりという状況。(いろんな意味で)登坂の世界選手権が全階級のかぎとなる階級なだけに、不安要素が残る」と心配げに話した。

 登坂の階級には、2009年世界女王でロンドン・オリンピック銀メダルのマリア・スタドニク(アゼルバイジャン)が復帰してくる。7月のゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)では、準決勝で入江ゆき(九州共立大)をテクニカルフォールで下して優勝するなど、世界選手権に向けて調子を上げてきている。それだけに、登坂のけががどれだけ影響するかが心配される。

 栄監督は「FILA(国際レスリング連盟)の世界ランキングは、登坂に代わってスタドニクが1位になってしまったけれど、私は6対4くらいで登坂が勝つと思って、(対戦を)楽しみにしている」と、登坂のファイトに期待をかけた。

 一方、世界選手権、オリンピックを含めて世界V15を目指す吉田の調子は上々だ。6月の全日本選抜選手権では初の53kg級に出場し、学生選手相手に失点するなど危ない一面を見せてしまったが、この合宿では“女王健在”だった。

 栄監督は、全日本選抜直後は吉田に辛口コメントだったが、その後の練習姿勢を見て、「55kg級の時の強さに戻ってきています。(53kg級に)慣れてきたのだと思う」と話した。昇り調子の理由は「練習の量が豊富。学生との練習を最初から最後までやり、その練習を全力でやっていることで、55kg級の強さに戻ったのではないか」と分析した。

 合宿は22日まで行われる。


 ■48kg級・登坂絵莉(至学館大)「ずっと首が痛いのですが、それでも(世界選手権、アジア大会では)やってきたことを出すしかないので、自信を持って闘いたい。痛みの原因は、何をしたわけでもなく、2、3週間前にいきなり痛くなった。タックルに入ることができないので、今は脚を触らせないような動きや、がぶりやバックに回る練習をしている。(強敵となる)スタドニク選手は、タックルがうまい選手なので、逆にいい機会だったかなと思っている」

 ■53kg級・吉田沙保里(ALSOK=アジア大会は55kg級)「世界選手権の53kg級に向けて体重調整などもうまくいっています。アジア大会は55kg級なので、そのあと体重を戻さなければならないのですが、先に世界選手権があるので、いつもどおりに練習を頑張っています。十日町では、走って追い込むので体力がつきます。それを自信にして世界選手権で勝ちたいです。新しい階級で初タイトルを獲得し、世界V15を目指して頑張りたいです。アジア大会も4連覇できるように頑張りたいです」

 ■75kg級・浜口京子(ジャパンビバレッジ)「順調に来ています。山を走って、スタミナを向上させて、技術面でも、コーチたちのアドバイスをもらっています。アジア大会に向けて成長した姿で臨めるように1日1日を大切に、1回1回の練習を全力で過ごしています。アジア大会では硬くならないで、自分自身を信じて戦えるようにしたい。勝つのが一番ですが、全力を出して最後は家族や支えられている方たちと笑顔を共有できたらいいなと思っています。(ブラジル選手2人をおんぶしての坂道は)海外の選手は鍛えているのもありますから重かったです。いつもの練習の倍くらいはありました。(いい練習になっていること)間違いないです」


 

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