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2017.12.31

【全日本選手権・特集】“勝って当たりまえ”のプレッシャーを受け入れて圧勝優勝…女子62kg級・川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)

(文=布施鋼治、撮影=矢吹建夫)

無敵の白星街道を突き進む川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)

 2017年の全日本選手権は「兄弟」「姉妹」の活躍が目立った大会だった。男子ではフリースタイル79㎏級で高谷惣亮(ALSOK)が磐石の強さを見せて優勝を飾れば、同65㎏級では弟の大地(自衛隊)が悲願の初優勝を収めた。

 女子では大会最終日に今年の世界選手権60㎏級を制した川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)が62㎏級の頂きを極めた。前日には妹の友香子(至学館大)が59㎏級を制しているので、高谷兄弟とともにうれしい初のアベック優勝を決めたことになる。

 川井は最終日の準決勝が初戦の予定だったが、対戦相手が棄権したため、闘わずして決勝に進んだ。決勝を争った伊藤友莉香(自衛隊)とは一昨年の全日本選抜選手権以来2度目の顔合わせとなったが、現在の実力差は歴然。タックルや場外ポイントでどんどんポイントを稼ぎ、あっという間にテクニカルフォール勝ちをおさめた。

 「1試合しか試合をできなかったので、やり切った感じはないけど、よかったかなと」。 前日、妹が優勝した時には人目もはばからずうれし涙を流した川井だったが、この日は優勝を決めた後も終始笑顔だった。

 「友香子の決勝は代わってあげられるわけでもないのに、自分の試合より緊張していた」。 対照的に、自分の優勝は周囲から当たり前だと思われていることが少なからずプレッシャーになっていたと打ち明けた。

 「オリンピック・チャンピオンになる前とあとでは、試合への挑む時の心境が違う。なる前はガツガツ行くだけだったけど、いまは勝つのは当たりまえで、欲が出てきたのかポイントもやりたくない。油断できないことは分かっている中での気持ちの作り方が難しい。自分で自分にプレッシャーをかけるようになってしまったのかなと感じています」

 今大会では世界チャンピオンや第1シードが負けるシーンを目の当たりにした。素直に番狂わせを起こした勝者を称賛したいという気持ちがある一方、川井は「自分はやられる立場なので怖い」と思い、土性沙羅(東新住建)に相談した。二人は至学館大の同い年で、同じチームで苦楽をともにした仲である。

 川井と同様にリオデジャネイロの金メダリストとして追われる立場にいる土性の答えは明解だった。「でも、勝つ人は勝っているよね」。その言葉を聞いて、川井は救われた思いがした。そして、我に返った。

 「練習をやっていなかったわけではない。しっかりやってきている。急に不安になっても仕方ないじゃないか」

 川井が目指す理想のメンタル─、それは“大人のレスリング”だ。「吉田沙保里さんも、試合前はすごく緊張すると聞いている。誰だって緊張するのは当たりまえ。私も受け入れなければいけないと思いました。これからはそう思いながらやっていきます」

 姉妹優勝は東京オリンピックに向けての第一段階。2018年の世界選手権はこのまま62㎏級で闘うつもりだが、その後は友香子とバッティングしないように階級を決め、史上初の姉妹でのオリンピック制覇を狙う。







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