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2014.12.27

【全日本選手権・特集】初公開! 変形地獄固めで世界女王対決に勝つ…女子53kg級・吉田沙保里(ALSOK)

(文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)

 現役世界チャンピオン同士の対決で話題を呼んだ全日本選手権の女子53kg級は、53kg級女王の吉田沙保里(ALSOK)が55kg級女王の浜田千穂(日体大)をわずか53秒で破り、世界V15の貫録を見せた。

 10年以上前のことだ。格闘技雑誌の企画で伊調千春・馨姉妹の取材で、至学館大の前身の中京女子大を訪れた。せっかくなので、レスリング部の練習も拝見させてもらった。吉田沙保里(ALSOK)が黙々と練習している。

 スパーリングを何セットかこなした後(本数までは覚えていないが)、マットを下りたので、休けいするのかと思いきや、左右の手にダンベルを握ると、凄まじいスピードで上下に振り始めたのである。

 「なんだ!?」と思ったのが率直な感想である。女子レスリングに関しては新潟・十日町での過酷な合宿風景を見て、その厳しさに接したことはあった。しかし、あの時の吉田のダンベルの振り下ろしは今でも目に焼きついている。その後、天井からつるされたロープをスルスル登り始めた。

 人並み以上、いや他のアスリート以上とも言われる吉田の背筋力や握力は、こんなトレーニングの賜物なのだ。その後、吉田の練習を間近で見る機会はなかったが、自分の追い込み方は心得ているに違いない。

 今大会の試合後のコメントで、「練習でも調子が良かった。練習ではがぶり返しを結構やっていた」と語ったように、今大会ではそのがぶり返しに目を見張るものがあったが、2回戦(テクニカルフォール)、3回戦(フォール)、準決勝(テクニカルフォール)と磐石の強さで勝ち上がり、決勝では世界選手権55kg級優勝の浜田千穂(日体大)を迎え撃った。

 この決勝を、日本協会の小林孝至・広報副委員長(1988年ソウル・オリンピック48kg級金メダリスト)が解説してくれた。「地獄固めは、またさきの体勢からネルソンで上半身をひねるのですが、今回の吉田選手のケースは、タックルを切ったと同時に、自分の左足で浜田選手の右足をロックし、その状態からネルソンで上半身をひねっていました。変形の地獄固めと呼べるのではないでしょうか」

 吉田は決勝を「力技でのフォールでした」と振り返ったが、力まかせで強引にもっていったわけではない。タックルを切ってから、徐々にネルソンにもっていった変形地獄固めでフォール勝ち。日頃のトレーニングで培ってきた尋常ではない背筋力が、こういう場面でも活かされた。終わってみれば、全試合で失点「0」だった。

 「55kg級の時は体重が足りなかったくらい。53kg級は私に合っている」という吉田。その視線はリオデジャネイロでのオリンピック4連覇しか見えていない。

 本ホームページのニュースでも取り上げられていたように、博報堂DYメディアパートナーズ発表の「アスリートイメージ評価調査」の結果によれば、「2015年に活躍が期待できる」の女性アスリート部門のトップになった吉田。2015年は、所属するALSOKが会社設立50周年を迎える。自らの活躍で、会社の節目の年に花を添えてくれるに違いない。


 







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