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2015.03.31

【全国高校選抜大会・特集】レスリング人生初の挫折から再起…60kg級・成國大志(三重・いなべ総合学園)

(文=増渕由気子)

 キッズ時代に全国少年少女選手権を5度制覇、全国中学選手権で男子史上5人目の3連覇を達成し、高校でも “記録”への挑戦が注目されていた60kg級の成國大志(三重・いなべ総合学園)が、大スランプを乗り越え、昨年の50kg級に続く連覇を成し遂げた。

 決勝では、磯川利音(京都・網野)を“ローリング地獄”でわずか44秒でテクニカルフォール勝ち。記録だけ見れば、「キッズ時代からのエリートが順当勝ちした」と見えるかもしれない。

 だが、今回の優勝は成國にとって簡単ではなかった。成國は「去年はけがをして、いろんなことがあって…」と昨年を振り返ると、こみあげてくるものがあったのだろう、言葉に詰まって目頭を押さえた。

 「すべて、1年前のこの大会から始まったんです」と、負のスパイラルは奇しくも昨年の全国高校選抜大会がきっかけだった。2013年に1年生でインターハイ50kg級を制したものの、成長期で身長・体重とも増え、昨年のこの大会は10kg以上の減量をして、ふらふらになりながらの優勝だった。内容が伴わず、唇をかみしめながら優勝インタビューに応じる姿が印象的だった。

 4ヶ月後のインターハイでは55kg級に上げたが、3回戦で左手の甲を骨折した影響で上位進出ならず。当初はすぐ治して2週間後の全国高校生グレコローマン選手権に出ると意気込んでいたが、「けがの状況は思ったよりも重症。じん帯も切れていて、すぐに復帰できる状態ではなかった」と、公式戦の復帰は10月の長崎国体だった。そこでも乙黒圭祐(東京・帝京)に敗れて初戦敗退。成國は「『練習では強いのに、本番に弱い』って言われるようなった」と声を絞り出した。

 輝かしい過去を持つ成國は、どちらかと言えば地方のローカル大会で負けることがあっても、主要大会に照準を合わせるタイプ。“本番に強い成国”が代名詞だったが、昨シーズンは、レスリング人生初の挫折。「初めてレスリングを辞めようと思った時もあった」と辛い時期を振り返った。

 何が何でも今大会で復活する! 強い信念を持って臨んだ今大会は勝ちにこだわった。「タックルがへたくそ」と自称する成國は、タックルを捨て、がぶって落としてバックに回るスタイルで全試合通した。準々決勝では、テクニカルポイントなしのコーションの取り合いの末、最後の相手側のチャレンジ失敗で得た1点を加えて3-2で逃げ切る場面もあったが、「どんな泥仕合でも、1点差でもいいから、とにかく勝ちにこだわった。今回優勝してから、また試合のスタイルを作り上げていきたい」と割り切って試合に臨んでいた。

 成長期に苦しめられた体重も落ち着いてきたようで、冬場は60kg級の体を満足に作りこめたようだ。エリート選手ともてはやされた成國が初めての挫折を乗り越えて優勝した。高校最後のシーズンは、始まったばかり。今度は試合内容で“魅せ”られるか。


 







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