全日本女子オープン選手権の55kg級決勝は、昨年のユース・オリンピック52kg級優勝の向田真優(JOCエリートアカデミー/東京・安部学院高)が、昨年の同級世界チャンピオンの浜田千穂(クリナップ)を破って優勝。中学の部から含めて6年連続優勝を達成し、大会の最優秀選手賞に輝いた。
向田は「インターハイの決勝で負けて、本当に悔しい思いをした。それからの2ヶ月間、この大会で優勝することだけを考えてやってきた。思いがかなって本当にうれしい」と満面の笑み。決勝は1点を争う攻防となり、向田が3-2でリードを守り切った展開。「途中からインターハイの決勝を思い出し、同じ思いはしたくない、という気持ちだった。最後まであきらめないで闘う気持ちが出せた」と勝因を話した。
インターハイはそれまでより1階級上の階級(56kg級)での出場であり、ある意味では「負けて元々」の結果。しかし、「上の階級であっても、同年代の大会で負けていたら世界では勝てないと思っていた」と、負けた悔しさに変わりはなかった。今回も上の階級で、格上の選手が相手だったが、「負ける悔しさは味わいたくない」という気持ちが、勝利につながった。
浜田には6月の全日本選抜選手権の53kg級3位決定戦でも勝っている。しかし、その時は浜田が準決勝で年下選手に不覚を喫し、その直後の気持ちが最高に落ち込んだ状態での対戦だった。それも実力のうちだが、大方の見方は、あの勝敗だけで向田が浜田を追い越したとは思っていなかった。
本人にも「2度続けて勝たなければ、本当に勝ったことにはならない」という思いがあった。今回の勝利は間違いなく前世界女王を超えたと言える勝利。「この優勝を次につなげられるようにしたい」と、大きな1勝だったことは間違いない。
来年のリオデジャネイロ・オリンピックは、前後の階級の日本代表はほぼ決まってしまった。しかし、「大きな目標は東京オリンピックでしたから…」とショックはなく、「次の全日本選手権で勝てるよう、明日から頑張ります」と、モチベーションはまったく下がっていない。
全日本選手権では、今回優勝した55kg級で初の全日本チャンピオンを目指す選択肢もあるが、“自分の階級”である53kg級での出場を考えているという。当然、吉田沙保里(ALSOK)という壁を超えなければチャンピオンにはなれない。それでも「優勝を目指して頑張ります」と力強く言い切った。
前世界女王を破ってインターハイのつまずきを払しょくした向田が、12月、絶対女王・吉田沙保里に挑む-。