【全日本選手権／第3日・特集】勝ち上がった選手の声

（2017年12月22日／文＝増渕由気子、布施鋼治、斎藤葵、坂口こよみ）

　■男子グレコローマンスタイル60kg級・文田健一郎（日体大＝世界チャンピオン、順調に勝つ）「いつも計量当日はあまり動けないが、今日は問題なかった。焦るというか、コーチにも（気持ちが）高いと注意されたので、そこを改善すればもっとチャンスも増えてくると思う。グラウンドルールは嫌いではないし、グラウンドからの得点源も色々と持っているので、今後はそり投げの精度を上げてルールを有利に生かしたレスリングをしていきたい。（決勝で太田選手と当たる可能性もあるが）やっぱりうまいし強い。食らいつかなければならない相手だと思うので全力で勝ちにいきたい」

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　■男子グレコローマン60kg級・太田忍（ALSOK＝オリンピック銀メダリストの貫録を見せる）「計量後、4kgくらいリカバリーしました。減量は1ヶ月ほどかけて行った。今回は負けたら階級を上げるつもりでやっている。来年の世界選手権はどんな形でも出ないといけないと思っている。メディアの方が道場に文田を取材しに来きて、（それを横で見ていて）違う形でも悔しさがある。今ではグレコローマンといえば文田となっている。レスリング選手として尊敬しているけど、ライバルとして、なにくそと思っています。明日は勝ってアピールしたいです」

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　■女子50kg級・須崎優衣（ＪＯＣエリートアカデミー／東京・安部学院高＝準々決勝をテクニカルフォール勝ち）「自分の武器である攻めて前に出て勝つという目標が達成できてよかった。世界選手権が終わってから課題として出てきたのが組み手。崩してタックルに入ることや、タックル以外でポイントを取ることを練習してきた。グラウンドをしっかり取るところで取り切ることができた。まだまだな部分もたくさんあるけど、やり切ることはできた。

　（登坂絵莉の棄権は）絶対に対戦して倒して真のチャンピオンになるって決めていた。今聞いて驚いた。登坂選手がいない中でしっかり勝って、次の大会で対戦した時には絶対に自分が勝って真のチャンピオンになれるように、今回は何が何でも優勝して、次の大会では絶対に対戦して勝ちたい」

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負傷を乗り越えて初戦を勝った登坂絵莉（東新住建）だが…

　■女子50kg級・登坂絵莉（東新住建＝初戦に勝つも、負傷の悪化で準決勝の棄権を表明）「やっぱり難しいですね。攻めることはできたけれど、ディフェンス面が足りなかった。試合に出られることが少なくなってきて、試合勘がなくなってきているなと感じる。出場しようかどうかも前日の夜までものすごく悩んだ。自分自身けがをしている中で今年はやってきたし、初めての当日計量は、出てみないと分からないので試合に出場したい気持ちが大きかった。

　出てよかったと思うし、最後のチャレンジでは負けても何も言えない試合だった。決勝まで誰が上がるか分からないレベルの高い階級なので、慎重に進めつついくときはいきたい。

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　■栄和人強化本部長（登坂絵莉の棄権について緊急会見）「登坂選手はリオデジャネイロ・オリンピック前から足の調子が悪くて、オリンピック後に手術するか、そのままやって行くかといろいろ悩んだ。結局手術をしたけど、完治するまでに時間がかかった。9月の女子オープンに出たのは、『自らの手で全日本への出場権利を掴みたい』という思いがあったからです。強化委員会からの推薦でも出られたんですけど、本人は試合慣れということも含めて出ることにこだわった。

　その女子オープンに出て２～３週間後、須崎選手との練習中に、またひざと足首を痛めてしまった。今回は計量当日まで出られるかどうかわからないという状況だった。結局、本人は『計量したから出る』ということで、準々決勝に出たけど（１回戦はシード）、その試合内容を見て、僕は『もし、このまま接戦で勝ち上がったとしても、もう一回ヒザや足首を痛めて悪化させる可能性が高い』『だったら来年６月の明治杯に向けてしっかり治した方がいい』と思い、自分の判断で棄権という結論を下しました」