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2018.05.02

【特集】病床の弟に支えられてJOC杯優勝! 世界へ挑む…男子グレコローマン55kg級・小川翔太(日体大)

小川翔太(日体大)

 55kg級が復活して田野倉翔太(東京・自由ケ丘学園高教)がカムバック。同級でも世界王者誕生の可能性が出てきた男子グレコローマンだが、復帰したベテランに頼るだけの状況であってはならず、若手の躍進が望まれるところだ。その一番手が、4月のJOCジュニアオリンピックカップ(JOC杯)同級を制した小川翔太(日体大)。

 昨年12月の全日本選手権は、決勝で田野倉に完敗して2位だったが、初出場の19歳という年齢を考えれば上出来と言える成績だろう。JOC杯の優勝で9月の世界ジュニア選手権(スロバキア)への出場を決めた。4月28日からの全日本合宿に参加し、「今年は世界への再飛躍の年。世界ジュニア選手権が楽しみで、待ち遠しいです」と張り切っている。

55kg級復活の追い風、最適階級で世界ジュニア選手権へ

 茨城・霞ヶ浦高校時代からグレコローマンに特化して強化を進め、2年生の時にJOC杯カデット、全国高校生グレコローマン選手権、国体の50kg級で優勝。世界カデット選手権には2度出場しており、将来を期待された。しかし高校最後の年(2016年)は55kg級に上げたこともあり、全国王者がなく終わった。

JOC杯決勝で見事なバック投げを決めた小川=撮影・矢吹建夫

 日体大へ進んでも、最軽量の59kg級ではきつかったのだろう、昨秋の東日本学生秋季新人選手権での3位が最高。通常体重が60kgくらいで、59kg級の試合では「65kgを超えた選手が落としてくる。力負けしていました」とのこと。このままの階級区分だったなら、全日本レベルで通じるにはもう少しの時間が必要な状況だった。

 55kg級という現在の自分にぴったりの階級ができ、事態が変わった。いずれオリンピック階級の60kg級でやることになるにせよ、最適階級ができたことで、段階を追って強さを身につけていけることになった。

 全日本2位とJOC杯優勝によって、55kg級では若手成長株ナンバーワンを証明した。JOC杯の決勝では、高校最後の国体で負けた片桐大夢(拓大=静岡・飛龍高卒)に14-6のテクニカルフォールでリベンジ。これまでの練習が正しかったことを証明した。

昨年の全日本選手権で田野倉翔太に挑んだ小川(青)=撮影・矢吹建夫

 それでも、思い上がることなく反省点を挙げた。「(全試合を通じて)腕を差したのに、怖くて腰が引けてしまう自分がいた。セコンドの(太田)忍先輩から『全日本2位なんだから、思い切り行け』と言われたのに、思い切りがなかった」。準決勝までは全試合無失点のテクニカルフォールであっても、満足には程遠い内容だったようだ。

 課題を克服しながら、今年は世界ジュニア選手権という大きな舞台へ挑む。「世界カデット選手権は2回とも1回戦で負けている。ジュニアは最後の年。優勝を目指して頑張りたい」。

 現在は田野倉と練習する機会が多く、カデット時代とは環境が違う。練習と試合から感じる田野倉は「力が強くて、うまい。スパーリングでもポイントが取れない」。かなりの実力差を感じているが、「近づければ、世界ジュニア選手権での好成績につながると思います。まず明治杯(全日本選抜選手権)です」。日体大の練習場には1階級上の太田忍と文田健一郎もいる。世界で通じるための実力養成には最高の環境にいることは間違いない。

ベッド生活になっても下を向かない弟に励まされる

 小川が奮起する材料のひとつに、昨年の愛媛国体で鳥取の高校に通っていた弟・元気選手が頸椎損傷のけがをし、肩から下が動かせない大けがを負ったことがある。そんな状況になっても前向きで、口にペンをくわえてLINEなどでよくメッセ-ジを送ってくれ、それが励みにもなっている。

全日本合宿で練習する小川

 今は肩からひじの間くらいにまで感覚が戻り、病院を退院。自宅で訪問看護を受けながらのリハビリ生活に変わった。どこまで治るかは分からない状況だが、「こうした状況になっても下を向かないのはすごい。弟がレスリングをできなくなった分、自分が頑張らなければ、という気持ちです」。

 弟は家族に付き添われてJOC杯に応援に来る予定もあったという。体調を崩して実現しなかったが、口でくわえた筆でハンカチに「がんばれ」と書いてくれ、小川はそのハンカチを持って試合をした。「弟の分まで」-。世界ジュニア選手権の時も、弟の気持ちがこめられたハンカチが、その胸にあることだろう。

 まずは明治杯全日本選抜選手権。半年前よりも成長したところを見せ、世界ジュニア選手権へのステップとしたい。

合宿でのスパーリングで田野倉翔太に首投げを決めた小川







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