日本レスリング協会公式サイト
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2019.08.02

【2019年全国少年少女選手権・特集】全国大会開催を機に、和歌山県のレスリングが世界へ飛躍する!


大会を終えて、県の選手・関係者が全員集合=提供・県協会

 2019年の全国少年少女選手権は7月26~28日、209クラブ1244選手を集め、和歌山市の和歌山ビッグホエールで行われた。この大会が和歌山県で行われるのは初めてで、17都道府県目の開催となる。

 和歌山県は東京オリンピックが終わった翌年(1965年)に県協会が発足し、強豪を多く生んできた。オリンピック選手は、1964年東京オリンピック・グレコローマン87kg級の開健次郎に始まり、9人を輩出。1996年アトランタ・オリンピック・フリースタイル74kg級で日本のメダル獲得の伝統を守った太田拓弥・現早大監督のほか、オリンピックに2度出場し、1987年世界選手権グレコローマン62kg級3位の西口茂樹・現日本協会強化本部長も和歌山県の出身だ。

 キッズが本格的に栄えたのは、1988年ソウル・オリンピックのグレコローマン130kg級で6位入賞の快挙を果たした現在の和歌山県協会・出口一也理事長(当時国士舘大4年生)が地元に戻ったあと、1990年代に入ってから。2008年北京オリンピックと2012年ロンドン・オリンピックでメダルを取った湯元健一・進一兄弟が、キッズ・レスリング経験者の出世一番手となる。

 平成に入ったばかりの1990年には、県内のキッズ・クラブは2つ。現在は6つあり、選手数は約200人。今年9月の世界選手権(カザフスタン)には、男子フリースタイル61kg級に山口海輝(日体大)、同74kg級に奥井眞生(自衛隊)が出場。湯元兄弟に続く世界での活躍が待たれる状況だ。

2015年の国体開催で県協会が一致団結

 そんなベースがある和歌山県だけに、キッズの全国大会開催は自然の流れだが、1000人を超える選手が参加する大会を引き受けるというのは、どの県でもできることではない。保護者を含めて最低でも3000人が入れる会場があっても、金銭的・人的によほどの“体力”がないと不可能。それらのめどが立ち、県の関係者が一致団結してこそ開催できる。

選手宣誓の4選手、地元の英雄の湯元健一・日体大コーチ、全国少年少女連盟・今泉雄策会長

 出口理事長は「キッズ選手のために開催はいいことだと思いましたが、正直なところ、反対の声もありました」と実情を打ち明ける。大口の協賛企業の当てがあるわけではなく、下手すれば大赤字。運営がうまくいかなければ、全国少年少女連盟のメンツをつぶしてしまう。

 それでも、誘致を進める関係者の熱意が上回った。日本協会と全国少年少女連盟の全面的な支援が見込めたことと、選手の保護者を総動員し、小口であっても多くの協賛企業を集めることで金銭問題はクリア。他県の場合と同様、キッズ・クラブの保護者の参加によってスタッフは確保できる。2015年に那智勝浦町で国体を開催したことで団結力が強まっていたことも、全国大会誘致を進める原動力となったという。

 県協会の永野要祐副会長は、昭和40年代中盤に躍進した国士舘大で活躍。大分県出身だが、1971年の和歌山国体へ向けて同県にスカウトされ、永住を決意。同県のレスリングをつぶさに見てきた。高校生から国際舞台に至るまでコンスタントに強豪選手を生み続けてきた要因に、県がスポーツに力を入れていることを挙げる。

 地元国体に向けて強豪選手を獲得し、強化することは多くの県で見られる。和歌山もそうやって強化した一方、国体が終わっても強豪選手を取り続けているのが特徴だ。1984年ロサンゼルス・オリンピック銅メダルの斉藤育造、2015年世界選手権2位の実績を持つ和田貴広・現国士舘大監督も、一時期、和歌山県教委の所属として活動していた。県に体育指導員制度があり、職員として採用され、月の半分近くは出身大学や全日本チームへの練習に出られる環境があるという。

「子供達を大切に育てていきたい」…出口一也・県協会理事長

 そうしたベースづくりの中から、キッズのクラブができ、湯元兄弟のように和歌山生まれ・和歌山育ちの強豪選手が出現。世界の舞台でメダルを取る選手にまで成長している。

来年は高校グレコローマン選手の闘いの場となるか?

 ご多分にもれず、レスリング部のある中学はないが、「中学校の時から和歌山北高校に通っています」とのこと。そのまま同高に進学してレスリングを続ける選手が多いので、和歌山北高校が県の中心高校。「他校は高校に進んでからレスリングをやる選手ばかりですが、北に追いつき、追い越せ、ということで努力し、全国大会に出場できるまでに成長します」と言う。県立高校ばかりの県で、ここまで頑張っている県も珍しいのではないか。

 永野副会長は和歌山県レスリング界の歴史を振り返り、「出口理事長の130kg級でオリンピック6位なんて、もうありえないんじゃないですか」と賞賛する。キッズ時代はほとんど実績のない湯元兄弟(ゲストで大会参加した健一コーチは、開会式で「全国大会は5年生と6年生の時に出て、1回戦負けと2回戦負けでした」と披露した)がオリンピックでメダルを取る選手になるなど、日本レスリング界の発展に貢献してきた自負を持つ。

 もちろん現状に満足しているわけではない。時に高校の全国王者が生まれ、大学へ進んでも成績を残している選手はいるが、「学生のうちに世界に行って勝つようでなければ駄目ですよ。乙黒拓斗選手のように」と、キッズの隆盛に合わせて若い世代の飛躍的な活躍を望む。

 そのためにも、県のさらなる団結が望まれるところ。毎年8月中旬に大阪で行われている全国高校生グレコローマン選手権の開催が、来年は東京オリンピックの関係で浮いてしまっているので、これを引き受けることで話が進んでいるという。

 3日間の大会を終え、出口理事長は「子供達は未来の宝です。大切に育てていきたい」と総括。今後のレスリングの発展を願った。







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