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2019.08.16

価値ある“闘いの場への復帰”…最強一族の子孫、アビッド・ハルーン(パキスタン=日体大)が奮戦


アビッド・ハルーン(右、パキスタン=日体大)とアントニオ猪木さんのストーリーを掲載したインドの英字サイト「Scroll in」

 インドの英語ニュースウェブサイト「Scroll in」は8月14日、エストニア・タリンで行われている世界ジュニア選手権の男子フリースタイル97kg級の敗者復活戦で、アカシュ・アンティル(インド)とアビッド・ハルーン(パキスタン=日体大)が対戦し、アンティルが勝ったことを報じた。

 記事の中で、ハルーンの父のアビッド・アスラム氏の「今回は、勝ち負けは重要ではない。世界の舞台で闘えることが重要です。私達の一族が再びレスリングをやるとは思わなかった」というコメントも掲載。インドの“政敵”パキスタンの若手選手の奮戦を報じた。

 ハルーンの先祖は、インドの伝説的なレスラーであるグレート・ガマ。インドにルーツを持つ伝統あるパキスタン・レスラーの活躍により、レスリングを通じた両国の友好を願っているのかもしれない。(注=以下は、同サイトの記事を参考としています)

物語と記憶の中にのみある遺産が消えていった…ペールワン一族

 ハルーンが、アントニオ猪木さんとの闘いで有名なパキスタンの伝説的なレスラー、アクラム・ペールワンの親族であることは日本でも報じられている。ボロ、アザム、アクラム、アスラム、ゴガのペールワン5兄弟は、パキスタンのプロレス界を代表する一族で、その子供たちも格闘技に取り組んでいた。

インド出身の伝説のレスラー、グレート・ガマ

 彼らの父、イマン・バクシュは、インド伝説のレスラー、グレート・ガマの弟。グレート・ガマは、世界のプロレスの歴史で必ず出てくる選手。プロレスが現在のようなエンターテインメント性のない時代に、無敗を続けたと言われる。1947年にインドとパキスタンが分離独立した時にパキスタンに移住した。(グレート・ガマのFB動画=https://www.facebook.com/watch/?v=1565349086850080

 ガマを先祖とする素晴らしい血筋を持っているハルーンだが、実は、一族のレスリングの歴史は28年前に途切れている。猪木-アクラム戦の3年後(1979年)に一族の一人のズベール・ジャラが猪木さんと対戦したが、そのジャラが1991年に心不全のため30歳で急死し、それを機に一族はレスリングをやめたという。

 アスラム氏は「いい仕事がありましたから。しかし、レスリングは恋しかった。100年以上もさかのぼる伝統を途切れさせることは辛かった」とコメント。同サイトは「物語と記憶の中にのみある遺産が、ゆっくり消えていった」と表現している。

30年近くのブランクを経て、最強一族にレスリングが戻ってきた!

 状況が変わったのが、2014年に猪木さんがパキスタンを訪問し、激闘を展開したペールワンの子孫としてアスラム氏らと対面した時。猪木さんは一族の中でだれもレスリングをやっていないことにショックを受け、「だれかを日本に送ってくれ。レスリングをやらせる。生活の面倒は見る」と申し入れてきた。

昨年の全日本学生選手権決勝で闘うアビッド・ハルーン

 その時、ハルーンは14歳。アスラム氏は「猪木さんが私たち一族を覚えていてくれたことに感激しました」として、ハルーンを日本へ送ることを決めたという。ハルーンは猪木さんの期待にこたえ、千葉・日体大柏高校時代には団体優勝に貢献。日体大に進み、昨年の全日本学生選手権は男子フリースタイル97kg級で2位などの成績を残している。

 アスラム氏は、ガマのことはハルーンに話していなかったそうだ。「私たちの家族にレスリングが戻ってくるとは思っていませんでしたから」。日本でレスリングを始めることになり、初めて祖先の偉大な功績を説明し、すごい血筋であることを伝えたという。

 オリンピックのレスリングで、パキスタンの獲得したメダルは、1960年ローマ大会フリースタイル73kg級銅メダルのモハメド・バシール、ただ一人。ハルーンが半世紀以上の時間を乗り越えて2人目となるか。

 また、正式決定ではないが、来年2月のアジア選手権にはインド・ニューデリーが立候補しているという。ハルーンは今大会のあと、同サイトに「私はまだインドに行ったことがありません。インドでは、レスリングはとても人気のあるスポーツなので、そこで闘いたい」とコメント。アスラム氏も「来年はハルーンと一緒に行きたい」と、親子で偉大な祖先の生まれた地への訪問と闘いを熱望している。

 同サイトは「両国間の政治的緊張が高まっているので、簡単なことではない」と記述しているが、政治面でのあらゆる干渉を排除するのが世界レスリング連盟(UWW)の方針。レスリングを通じて両国間の融和が望まれる。







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