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2020.12.27

【2020年全日本選手権・特集】来年の明治杯で勝って、世界選手権を目指す…男子フリースタイル57kg級・高橋侑希(ALSOK)

(文=布施鋼治、撮影=矢吹建夫)

宿敵との対戦はなかったが、日本一に返り咲いた高橋侑希(ALSOK)

 東京・駒沢体育館で4日間に渡って無観客で開催された2020年全日本選手権。12月20日に行われた最終日、男子フリースタイル57㎏級準決勝でアップセットが起こった。リオデジャネイロ・オリンピック同級銀メダリストで、昨年の全日本選手権優勝者である樋口黎(日体大助手)が竹下雄登(日体大)に敗れた。

 戦前の予想では、「今年も決勝は樋口と高橋の一騎討ちになるのでは?」という声が大きかった。勝負の世界の出来事は想像をはるかに超える。減量苦が伝えられた樋口の動きには、いつもの切れがなかった。

 決勝で竹下を下して優勝した高橋侑希(ALSOK)は「僕も、決勝では樋口選手と当たるだろうと思っていました」と振り返る。

 「でも、レスリングは対人競技。今日一番強い選手が勝ち上がってくる。そこがレスリングの難しいところ。その日のコンディション作りのよし悪しが結果に直接結びつく。当日計量になってからは、なおさらレスリングが強いことだけではなく、日頃のコンディション作りが非常に大切ということを改めて感じました」

優勝してもオリンピックにはつながらい大会だが…

 この大会に勝っても、東京オリンピックの代表選考につながるわけではない。来年4月のアジア予選には、昨年の全日本選手権を制した樋口が出場することが決定済み。高橋は、気持ちの作り方が難しい大会だったことを吐露する。

準決勝で藤田雄大(自衛隊)に苦しめられたが、最後は勝利

 「言い訳になってしまうけど、優勝しても何もないので、集中力作りが難しかった。どこにモチベーションを持っていけばいいのか、を考えたら、とても僕ひとりではこの大会に出場することはできなかった」

 準決勝同様、竹下との決勝もクロスゲームに。一時はリードされる場面もあったが、焦りは皆無だったという。「2点を先に取られた時も『自分から行けば取れる』という自信がありました」

 高橋は会社や山梨学院のサポートがあったからこそ今大会を乗り切れたと思っている。中でもコロナ禍の中、弱音を吐いた妻に話が及ぶと、高橋の頬からは涙がしたたり落ちた。

 「これからどうすればいいのかと悩む僕を気持ちの部分で支えてくれました」

「一緒に練習してくれる後輩に技術や思いを伝えたい」

 ちょうど1年前、アジア予選に出場する大一番に敗れた直後、高橋は「もう辞めたい」という気持ちが頭をもたげた。そのとき、妻はこんな言葉をかけてくれた。「やりたくなければ、やらなければいいじゃない」

決勝も先制されたが、冷静に対処して勝利を引き寄せた

 夫の微妙な心理を掌握していたということか。その言葉を耳にした高橋は、気がついたら体重調整を再開し練習するためにマットに立っていた。

 「今回も、妻が全日本に向かう気持ち作りを必死にサポートしてくれた」

 次のターゲットは来年6月の全日本選抜選手権。11月29日に27歳になったばかりの高橋は「そこで優勝すれば、世界選手権(10月・ノルウェー)に出られる」という青写真を描く。「僕のレスリング道は他の人には真似できないものだとは思う。一緒に練習してくれる後輩たちにも僕のレスリングの技術や思いを伝えたい。そして世間から応援してもらえ、見本になれるような指導をしていきたい」

 大会2日後、高橋は今年限りでALSOKを退社し、山梨学院大のコーチに就任してレスリング活動を続けることを発表した。オリンピックだけがレスリングではない。







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