山梨学院大レスリング部は2月4日、東京オリンピックの男子フリースタイル65kg級の代表に内定している乙黒拓斗(4年)が、4月から自衛隊へ進むことを明らかにした。自衛隊には同大学OBで同74kg級の代表に内定している乙黒圭祐が在籍しており、兄弟で切磋琢磨し、ダブル金メダルを目指す。
2018年に日本男子史上最年少の「19歳10ヶ月9日」で世界チャンピオンに輝いた乙黒拓には、自衛隊のほか、多くの企業から好待遇でのスカウトが相次いでいた。
乙黒拓が選んだのは自衛隊だった。「兄の存在もありますが、プロであり、日本で一番のチーム。コーチにはオリンピックでメダルを取ったり、活躍したりした人が多い。自分が目指すところを経験している人のもとで練習をすれば、今後まだ強くなれるような気がします」と選んだ理由を説明。自衛隊での練習に加わることを「わくわくします」と話した。
企業に所属し、OBとして山梨学院大で練習を続ければ、「確かに自由にできます」と話し、その魅力もあった。しかし、「世界で活躍するには、一人で練習していてはきついと思います。素晴らしいトレーニング施設があり、練習相手がいて、コーチ陣が充実し、体のケアもしっかりできる環境でなければ、世界で勝てないと思いました。それには自衛隊です」と言う。
収入については、「お金を稼ぐためにレスリングを続けてきたわけじゃない。オリンピックで金メダルを取るためです」ときっぱり。金銭面での好待遇ではなく、勝つために最高と思えるチームを選び、地元オリンピックでの金メダル獲得へ向かう。