【2021年東日本学生選手権・特集】2年ぶりのフリースタイルで優勝、「ぜんのすけ」ではなく、「よしのすけ」！…男子フリースタイル65㎏級・青柳善の輔（山梨学院大）
（文・撮影＝布施鋼治）
2021年東日本学生選手権の第２日、新人戦フリースタイルＡ65㎏級は青柳善の輔（山梨学院大）が優勝した。大学１年生の昨年は全日本大学グレコローマン選手権63kg級に出場して３位に入賞している。記録を調べてみると、高校生のときに最後に出場した大会もグレコローマン（全国高校生グレコローマン選手権）で、フリースタイルの大会に出るのは２年ぶりだった。
2年ぶりのフリースタイル出場で優勝した青柳善の輔（山梨学院大）
その理由がふるっている。
「全グレ（全国高校生グレコローマン選手権）は大阪開催です。ちょうど大阪に行きたかったので、『ちょっとグレコでもやってみようか』という軽い気持ちで出場しました。そして頑張ったら３位になれた。そうしたら『お前、グレコローマンもできる』という感じで、大学生になってからもグレコローマンの大会に出たわけです」
青柳は「自分はフリースタイルの選手」と言ってはばからない。「（今は大会も少ないので）出させていただけるのであれば、グレコローマンの大会にも出たいけど、できればフリースタイルに専念したい」
善の輔と書いて「よしのすけ」と読む。名前の由来を聞くと、「親にもちゃんと聞いたことはない」と首をかしげた。「お父さんの名前は善典（よしのり）。その一字をとって善の輔と名付けたんだと思います」
名前の読まれ方は十人十色。「『ぜんのすけ』と読まれることにも慣れました。『ぜん』『のすけ』『よし』と呼ばれることもありますね」
試合で初めて使ったアンクルホールドがさえた！
レスリング歴は長く、４歳からスタート。さまざまなクラブを渡り歩いた。「そこの環境に適応できなくて、どんどん変わっていった感じですね」
2019年世界カデット選手権で3位入賞（右から2人目）＝チーム提供写真
高校の進学先・埼玉栄には「拾われて本当に良かった」と思っている。周囲の期待に応えるかのように、青柳は2019年のJOC杯カデットで優勝し、同年の世界カデット選手権（ブルガリア）で３位に輝く（3回戦でイラン選手に1－1の惜敗）。「でも、世界カデットでは優勝しなければダメだと思っていたので、悔しさの方が大きかったですね」
今回は大学２年になってから初めての大会。青柳は「みんな強かった」と振り返る。
「初戦の伊藤優寿（明大）戦が一番緊張しました」
しかし、決勝の加賀田柊生（明大）戦は「試合勘を取り戻していたので、思い通りに動けていました」。
序盤、アンクルホールドでポイントを重ねる場面が印象的だったが、意外にも「試合では初めてアンクルを使った」と言う。「今までの僕はローリング派。同期の塚岡達也（岡山・高松農高卒＝インターハイ3位）からアンクルを教えてもらったので、練習を兼ねて使ってみました。今後はローリングだけではなく、アンクルも使っていきたい」
同期の世界選手権代表・佐藤匡記が目標
試合の10日ほど前、いつもコーチしてもらう高橋侑希（山梨学院大職）が東京オリンピック出場を決めたことから大きな刺激を受けた。「うれしくて誇らしかったですね。練習ではお世話になっているし、どうしても勝ってほしかった」
高橋侑希コーチ（左から2人目）が見守る中、決勝で闘う青柳
階級が近いので一緒に練習する機会も多いと思われるが、「実は、僕の通常体重は重い」と打ち明けた。「試合があると食事制限をして、大好きなお菓子やアイスを食べなければ、体重はコロッと落ちる」
実は青柳はスイーツレスラーで、お菓子には目がない。「主食がお菓子のときもあって、ブクブク太っていた時期もありました」。ピーク時は76㎏まで増えたことも。
「小幡（邦彦）監督からは『節制しなさい』と命ぜられました」
その指示に素直に従い、今回は大好きなお菓子を制限して体調管理に努めた。「一番好きなのはバームロール。今日は（計量が終わってから）久しぶりに食べました」
今大会で一緒に優勝したフリースタイル74㎏級の佐藤匡記は同期で、今年の世界選手権出場を決めている。「仲はいいけど、向こうの方が強いので、頑張って追いつきたい」
スイーツパワーで佐藤に続け。
