7月18日に来日し、岐阜・中津川で事前キャンプをスタートした男女の米国チームが7月20日、練習を公開。2人の世界チャンピオンと1人のオリンピック・チャンピオンを擁する女子のテリー・スタイナー監督は、目標とする成績はノーコメントとしながら、「最終予選から何度かの合宿をやって、全員がいい仕上がり」と自信を見せた。
一方で、国内外でずば抜けた強さを見せている68kg級世界チャンピオンのタミラ・メンサストックに関して、「きちんとしたレスリングをしなければ勝てない。68kg級は強敵が多い。試合は、人生と同じで(勝つ)保証はない」と、気を引き締めているコメントも出た。
2016年リオデジャネイロ大会で吉田沙保里を破り、今回はエース川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)の強敵と考えられる57kg級のヘレン・マルーリスについては、「準備はしっかりできている」と言う。6月の「ポーランド女子国際オープン」で、オデュナヨ・アデクオロイェ(ナイジェリア)に敗れたが、「ポーランド・オープンを目標にやっているのではない」ときっぱり。負けから学び、それを生かしてオリンピックに臨むことを強調した。
女子チームにとって中津川は、2年前の夏に合宿をした思い出の地。同年11月に千葉・成田で行われたワールドカップでは、応援団を結成して応援に駆け付けたなど交流が深い。女子のアシスタント・コーチとして参加するクラリッサ・チャン(2008年48kg級世界チャンピオン)は、幼稚園の先生の勉強のため約半年間滞在している。
コロナ禍のため、多くの競技、多くの地で事前合宿のキャンセルが相次いだが、ここは予定通りの実施となった。ただ、滞在は“バブル方式”で、宿舎から買い物などの外出は禁止され、面会もできないなど不便な生活。ここ数日、急激に暑くなった日本だが、通訳として帯同した八田忠朗さんが「感じないです。外に出ていないので」と笑うように、ホテルと練習会場、移動のバスのみの生活。「選手は早くもストレスがたまっていますね」と言う。
しかし、民芸品の製作などホテル内で楽しめる設備の準備を進めてくれるなど、周辺は歓迎ムードいっぱい。この日の体育館までの移動では、沿道に小学生が並び、米国国旗を振ってくれるなどでチームを迎え、「オリンピックのムードを感じた」(ヘレン・マルーリス)など、気持ちも高まりつつあるようだ。
米国は女子で全6階級、男子フリースタイルで5階級、男子グレコローマンで4階級が出場する。大会前半の選手は29日、後半の選手は31日まで同地に滞在し、千葉・幕張へ移動する。