日本レスリング協会公式サイト
JAPAN WRESTLING FEDERATION
日本レスリング協会公式サイト
2021.11.17

【2021年全日本大学選手権・特集】幻に終わった“グランドスラム”、来年こそは実現か…団体戦2大会を制した日体大

 

 10月の全日本大学グレコローマン選手権で2位・拓大に19点差をつけ、王座を奪還した日体大が、フリースタイルで競われる全日本大学選手権では、2位の日大に32.5点の大差をつけて2年連続優勝。昨年の25点差(2位は拓大)を上回る圧勝で、3年ぶりに両スタイルの大学王者に返り咲いた。

2位に大差をつけ、2年連続で優勝した日体大=撮影・保高幸子

 勝負は初日でほぼ決まっていた。全5階級で決勝に進み、4階級で優勝(弓矢暖人、山口海輝、大野恵太郎、小柴伊織)。勢いは最終日も止まらず、やはり全3階級の決勝のマットに日体大の選手の姿があり、86kg級の白井達也が優勝して計5階級を制覇。得点「84点」と5階級制覇は、8階級で実施された大会では、ともに最高の成績だ。

 両大会の間に実施された全日本学生選手権(インカレ)でも、フリースタイル4階級、グレコローマン7階級で優勝という好成績だった。松本慎吾監督は「このあと、東日本学生の選手権と新人戦がありますが、全日本選手権に向けて、いい流れをつくれたと思います」と総括。目指しているのは全日本であり世界への飛躍だけに、喜びは瞬時に押さえ、すぐにやってくる大舞台に視線が向いているようだ。

 優勝した5選手に対しても、「今回は学生の大会(だから優勝できた)。全日本選手権に向けてしっかりと練習し、パリ・オリンピックへ向けてのスタートを切らせたい」と、手綱をゆるめることなく強化を続ける腹積もりだ。

負傷のアビッド・ハルーン、日体大最後の大会のV逸は心残り

 決勝で敗れた3人の中でも、61kg級の小川航大は優勝できる力があったとし、「インカレでもあと一歩だった。わずかの差を乗り越えて全日本選手権では勝たせたい。長谷川(敏裕=世界選手権3位)がどの階級に出てくるか分からないが、出てきたら勝負できるまでに持っていきたい」と期待。

日本で最後の試合になるかもしれないアビッド・ハルーン。負傷もあって、無念の2位=同

 97kg級の丸山純樹は、グレコローマンで学生3位の選手。チーム事情での起用で、さすがに世界の舞台で上り調子の石黒隼士(日大)相手には分が悪かった。「決勝に進んでくれ、よくやったと思う」とねぎらった。

 125kg級のアビッド・ハルーンは右ひざを痛めていて、決勝は時に足を引きずる状況だった。団体優勝が決まっていたので無理させずに棄権という選択肢もあったが、この試合が日本での最後の試合になる可能性もあり、頑張らせたと言う。

 2024年パリ・オリンピックのパキスタン代表を目指す予定だが、卒業して日本に残るかパキスタンに戻るかは未定。日本で活動するにしても全日本選手権に出場はできず、学生のときのように試合に出ることはできない。「日本での最後の試合になるかもしれない。有終の美を飾らせてやりたかった。心残りです」と話した。

学生の強化が2024年、2028年につながる!

 松本監督は、日本協会の男子グレコローマン強化委員長として全日本チームを率いて東京オリンピックを目指した。自チームの強化をおろそかにする気持ちはなかっただろうが、やはり重点は日本代表チームにあったはず。地元開催の大舞台が終わり、秋は腰を落ち着けて学生の指導に打ち込んだ。

主将としてチームを支えた山口海輝。圧勝で優勝し、責任を果たした=同

 自チームの強化が「2024年パリ・オリンピックや2028年ロサンゼルス・オリンピックにつながる」と話し、世界に目を向けた全日本レベルの指導が秋の学生の大会の結果と言えよう。先月の世界選手権では3年生の松井謙(グレコローマン55kg級)が優勝する殊勲を挙げ、選手の気持ちを後押ししたことも否定しなかった。

 2010年に監督に就任して以来、「胴上げは団体3大会を制覇したとき」と決め、優勝しても宙に舞うことを断ってきた。今年の布陣なら、リーグ戦があれば優勝して三冠達成の可能性は十分にあったが、新型コロナウィルスのため中止。1994年の日体大を最後に達成した大学がないという“グランドスラム”はお預けとなった。

 このことに話がいくと、「難しいですね…。仕方ないですよ」と話し、苦笑いを通り越し、どうしようもないという表情で吹き出してしまった。「そう簡単にいかないこと。かなえられる日を楽しみにしています」と続けた。

 勝利の女神は、高い目標がゆえに、日体大にもう1年の試練を与えたのか、それとも“1強独占”を避けるべく他大学の奮起を求めたのか。

 2年連続で中止になったリーグ戦。感染状況の好転がこのまま続けば、来年は開催できそう。“不遇”の期間をすごした日体大が、来年は春からスパートするか。







JWF WRESTLERS DATABASE 日本レスリング協会 選手&大会データベース

年別ニュース一覧

サイト内検索


【報道】取材申請について
-------------

● 間違いはご指摘ください
本ホームページ上に掲載されている記録や人名に誤りがある場合は、遠慮なくご指摘ください。調査のうえ善処いたします。 記録は、一度間違うと、後世まで間違ったまま伝わります。正確な記録を残すためにも、ご協力ください。


アスリートの盗撮、写真・動画の悪用、悪質なSNSの投稿は卑劣な行為です。
BIG、totoのご購入はこちら

SPORTS PHARMACIST

JADA HOMEPAGE

フェアプレイで日本を元気に