2010年秋季リーグ戦を最後に活動を停止し、昨年復活した南九州大が11年ぶりにリーグ戦に復帰参戦。就職試験のため選手がそろわなかったが、1勝をマークして再スタートを切った。竹田展大監督は「まずは学生に感謝したい」と、初めての闘いに積極果敢に挑んだ選手の健闘をねぎらった。
高校時代のレスリング経験者が2人だけで、あとは入学後にレスリングに取り組んだ選手。しかも、就職試験で選手を欠いていた。勝つことより、経験として挑んだ初リーグ戦だったので、「こう言ってはおかしいですが、1勝を挙げられたのは予想以上の成績です」と振り返った。
どんな形であれ、勝つことで選手の気持ちもチームのムードも変わる。「この大会を経て、変わっていってほしいです」と続けた。また、大会に参加することで一部リーグの強豪チームの試合を見ることができ、これも飛躍のきっかけとなることを期待した。
1978年に創部し、最高でリーグ戦2位というチームに育てた西村盛正部長は「わくわくと言うか、不安と言うか、その2つが入り混じった気持ちで臨みました」と、久しぶりのリーグ戦参加を振り返った。昨年中には活動を再開し、個人戦へ出場はしていたが、チームとしての出場はまた違った気持ちのようで、「本当によかった」と胸をなでおろした。
2014年に大学を定年退職するにあたり(注=名誉教授として75歳となる2024年まで在職が認められる)、唯一の心残りだった部の復活を成し遂げ、コロナ禍で予定より1季遅れたがリーグ戦への参加が実現できた。次は勝って上へ行くこと。「リーグ戦は、流れという独特の雰囲気がある。どの選手にとっても初めての経験」と話し、今回は、6位に終わった結果よりも、リーグ戦のムードを味わったことだけでも十分といったところ。「伸ばすのはこれからです」と力をこめた。
さらに、「私も日大魂を持っています(注=日大OB)。福田富昭前会長にも電話し、激励してもらいました。残り少ない人生を思い切ってやりたい」と強い口調で話した。
キャンパス移転によって休部を余儀なくされた同クラブ。部の復活に向けて大学が強力にバックアップし、1億6000万円をかけて新しいレスリング場をつくってくれた。
西村部長は「環境は整った。あとは選手がどれだけやる気を出してくれるかですね」と選手の発奮を期待。「昔は『飴とムチ』で鍛えた。今はそれが難しい時代になっている。若い竹田監督なら、現代に合った指導ができると思う」と、29歳の指導者に期待した。
竹田監督は専大出身で、世界ジュニア選手権出場もある強豪選手(今月の全日本選手権へもエントリー)。初心者集団への指導は「自分がやるのとは違った難しさがある」と話す。卒業後は東京・WRESTLE WINでキッズ選手を教えていたが、キッズの初心者を教えるのとも違うそうで、指導者として日々勉強といったところ。「少数精鋭で頑張り、まず二部リーグ優勝を目指したい」と話した。
女子の強化にも取り組む予定で、来春、3人の強豪選手が入部する。男女を通じた王国づくりがスタートした。