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2022.09.15

【2022年世界選手権・特集】さえたアンクルホールド、「誰であってもこの技をかけてやります」…女子62kg級・尾﨑野乃香(慶大)

 

 【ベオグラード(セルビア)/文=布施鋼治、撮影=保高幸子】「涙より笑顔です」-。ベオグラードで開催中の世界選手権・第4日(9月13日)。女子62kg級で初優勝した尾﨑野乃香(慶大)は、解放感にあふれたとびっきりの笑顔を浮かべた。

準決勝で昨年のチャンピオンを破り、昨年2位のミラクル(米国)との決勝に臨む尾﨑野乃香(慶大)

 無理もない。1年前、初めて出場した世界選手権(ノルウェー)では、初戦でアイスルー・チニべコワ(キルギス)に辛酸をなめさせられ、控室に戻る通路の途中で肩を震わせながら泣くしかなかったのだから。

 それでも敗者復活戦を勝ち上がって3位に入賞し、表彰台に登った。そのとき、尾﨑は「来年は絶対表彰台の一番高い場所に立つ」と心に誓った。

 「それから1年間、本当によく頑張ったなと思います」

 慶大に通って勉学にも励む身ながら、レスリング優先の生活を送っている。練習する時間を確保するため、電車移動の際に勉強することは日課になりつつある。

 「それも大変でしたけど、レスリングのことを一番に考えてやってきました。(その代わり)他にやりたいことや、欲望をすべて断ち切って優勝にかけていた。もう最高の気分です」

準決勝で世界女王との“ラバーマッチ”に勝利

 努力は実を結ぶ。今年6月の明治杯全日本選抜選手権決勝では、東京オリンピック同級の金メダリストである川井友香子(サントリービバレッジソリューション)を撃破。半年前の全日本選手権も制していたので、この勝利で2年連続世界選手権への出場切符をつかんだ。

優勝後は、歓喜に満ちた笑顔の連続

 8月にはブルガリアで開催されたU20世界選手権にも出場し、全6試合を無失点で優勝した。その勢いは今回の世界選手権でも続いた。初戦となった2回戦は53秒でフォール勝ち。続く3回戦は35秒でテクニカルフォール勝ち。「秒殺女王」を襲名してほしいほどの強さを見せつけた。

 クライマックスは、準決勝で実現したアイスルーとの“ラバーマッチ” (2試合の結果が1勝1敗で決着をつける試合形式)だろう。昨年のこの大会では敗れたが、今年4月のアジア選手権(モンゴル)決勝ではチニベコワの負傷による途中棄権で勝ち、通算戦績を1勝1敗と五分に戻している。

 お互い手の内は知り尽くしているだけに、今回も激しい攻防を繰り広げた。第1ピオリドは尾﨑が場外へ押し出すなどで3ポイントを獲得し、リードしたが、第2ピリオドになるとチニベコワはバックを取り返し、2-3と肉薄する。その直後、尾﨑はチニベコワを一気にニアフォールに持ち込み、7-2と差を広げ、その後も順調にポイントを重ねた。終わってみれば11-5で終了間際まで粘るライバルに引導を渡した。

技術や体力以上に、心の面が成長した1年間

 試合後、尾﨑は「準決勝でチニベコワ選手に勝ったことで、少し気が楽になった」と吐露した。「彼女は左構えも右構えもできる。そのような日本人選手はいないので、どうやって対応するかということを日本で考えてきた。それがよかったと思います」

必殺のアンクルホールド。「だれが相手でも決める」と言う

 1ポイント・リードで迎えた第2ピリオド、尾﨑は自らの成長を感じずにはいられなかった。「今までの私だったら3-2で勝っている状況で迎える状況だと、『1点しかリードしていない』と不安が込み上げてきて足が動かなくなったりしていました。今回はそうならず、3-2というスコアのことも考えずに点を取りに行くことができた」

 この1年間で、尾﨑はいろいろな面での伸びを感じている。「技術や体力の面もそうだけど、それ以上に心の面が成長したと思っています」

 昨年の世界選手権2位のカイラ・コリン・ミラクル(米国)との決勝でも、尾﨑は危なげなく10-0で完封した。準決勝までと同様、この一戦でもっともポイントを稼いだのはアンクルホールドだ。尾﨑は「この技は私の技といっていいほど自信がある」と胸を張る。

 「どんなに防いでも、対戦相手が誰であってもこの技をかけてやります」

 必殺技に磨きをかけた19歳の女子大生の心・技・体は整いつつある。







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