【ベオグラード(セルビア)】この大会を最後に、プロレス入りすることが決まっているカザフスタンのオレッグ・ボルチン(新日本プロレス職=山梨学院大卒)は、3位決定戦へ進んだものの、2017~19年世界王者のゲノ・ペトリアシビリ(ジョージア)に屈し、昨年と同じ5位。メダル獲得はならなかった。
ボルチンは「最後の試合なので、持っているものをすべて出すつもりでいた。何かが足りなかった。練習もしっかりしたし、コンディションづくりもしてきたけど、うまくいかなかった。悲しい」と、最後の試合でメダルに手が届かなかったことが無念そう。
「多くの人のおかげで、ここまでやってきた。結果を出して、みんなに喜んでもらおうと思っていたが、今ひとつ攻められなかった。もう少し自分を信じた方がよかったか…」。しかし、元世界王者を相手に第2ピリオドの中盤には4-2とリードし、意地は見せたと言えるだろう。
山梨学院大を卒業し、東京オリンピックを目指して日本で選手活動を続行。昨年の東京オリンピックはあと一歩で代表を逃したものの、同年の世界選手権の代表となり、それを最後にプロレス入りする予定だった。
しかし、ワーキングビザの取得に手間取り、故郷のカザフスタンで練習しているうちに今年の世界選手権がやってきて、同国代表として出場することになった。
2024年パリ・オリンピックまで2年を切っている。ここまでプロ入りが延びたのなら、「パリまで」という気持ちになることも考えられたが、東京オリンピックが区切りだったので、その気持ちはなく、来月にも再来日してプロ入りに備えるという。
「レスリングでは最後のところ(世界一)まで行けなかったけど、プロレスでは頑張りたい」と話し、未練を持たずに新しい世界への挑戦が始まる。
体力や肉体のすばらしさは、今すぐにプロレスのリングに上がっても通じるだろうが、別の世界だけに、しっかりと基礎からやる必要がある。「早くデビューしたい」と言いつつ、「しっかり練習してから」とも話し、焦らずに挑む。
カザフスタン初のプロレスラーのデビューは、いつになるか。