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2022.12.07

【2022年全日本選手権へかける】アジア女王の“過去”を捨て、気持ちを立て直してパリへのスタートラインに立つ!…女子62kg級・類家直美(至学館大)

 2019年アジア選手権(中国)女子65kg級2位を経て同年の世界選手権(カザフスタン)に19歳で出場。その後、アジア・チャンピオンに輝いた類家直美(至学館大)が、気持ちを新たにして、目標だった2024年パリ・オリンピックの代表選考のスタートへ向かう。

 「今回勝たないと、オリンピックにつながるチャンスが大きく減ってしまうので、絶対に勝ちたい、という気持ちです」。

▲2020年2月、アジア選手権で優勝した類家直美(至学館大)

 東京オリンピックは「年齢的、実力的にまだ早い」として、当初からパリ・オリンピックに照準を定めていた。東京へ向けての選考会となる大会でも、体重的には62kg級への減量は苦ではなかったが、世界への道がつながりやすい非オリンピック階級の65kg級を選び、世界選手権などの国際大会で経験を積んで実力アップをはかった。

 長期的な視野に立って目標を見つめ、実現に努力してきた。昨年のこの大会から本来の62kg級へ下げ、オリンピックへ向けてシフトチェンジ。

 オリンピック・チャンピオンであり目標だった川井友香子(サントリービバレッジソリューション)は出場していなかったが、決勝まで進み、尾﨑野乃香(慶大)に3-4で惜敗。リードしていながら、ラスト40秒で逆転され、世界チャンピオンに輝く選手の底力を感じる大会となった。

栃木国体で不覚の黒星、気のゆるみを一掃して立て直しを目指した

 パリへ向けて、いっそう力を入れなければならない状況となったが、今年10月の栃木国体では3回戦で岩澤希羽(秋田ノーザンハッピネッツ)に敗れる不覚。さらなる立て直しが急務となった。

 「練習不足だと思います。やはり練習しないと勝てない、ということを感じました」。けがもあって練習量が減っていたことは確かだが、それ以上に「自分の気のゆるみ」と厳しく自己分析する。コロナのため国際大会出場の機会が奪われ、今年はアジア選手権も世界選手も無縁。知らず知らずのうちに気のゆるみが生じたのかもしれない。

▲パリ・オリンピック代表を目指し、至学館大で練習する類家直美

 コロナによる停滞は、どの選手も同じ条件。「コロナの期間だからこそ、できた練習もあると思います。それをやっていた選手もいる。自分は気がゆるんでしまった、と感じます」と話す。コロナ禍前の伸びに比べ、その後の停滞は「悔しいですけど、それに見合った練習の結果と思います」と反省する。

 考え方を変えれば、結果に表れたのが国体でよかった、となる。「オリンピックという舞台が待っている、と気持ちを切り替えて、今があります」と話し、全日本選手権までの練習は違った気持ちで打ち込めている。

昨年は決勝で尾﨑野乃香に惜敗、大きかった「1点」の壁

 昨年の尾﨑との決勝は、第1ピリオドをアクティブタイムでのポイントによって1-0とリード。第2ピリオド、テークダウンを取られて逆転されながらグラウンドでの失点を許さず、ラスト1分にはタックルで再逆転。しかし、直後のラスト40秒にタックルを許してしまい、3-4で敗れた。

 ラスト1分時点でリードを奪いながら、それを守り切れなかったのも「気持ちの問題でしょう」と言う。「勝っている、という安心がありました。最後の最後まで自分が攻めるという気持ちを持たなければなりません」。

▲昨年の全日本選手権決勝、尾﨑野乃香相手にラスト1分でリードを奪ったが、その直後にタックルで再逆転されてしまった=撮影・矢吹建夫

 周囲は「1点差の接戦」と思うし、そう言ってくれるが、強豪相手の1点というのは、「すごく大きいんです」と言う。その1点の差は「努力が足りないんだと思います」と振り返り、克服のため厳しさを課している。

 川井とは階級が違っていたので試合で闘ったことはないものの、至学館の道場では連日練習していた相手。当初はまったく歯が立たなかったが、やられる中から成長してきた。世界選手権に出られるまでに成長したのは、川井のおかげであり、その面では感謝の気持ちでいっぱいだが、今は自分の夢の実現のために倒さなければならない相手。遠慮がちな表情ながらも、「倒すしかありません」ときっぱり。

世界で実績のある選手がそろう女子62kg級

 もっとも、今大会の女子62kg級は、川井と尾﨑を考えればいい状況ではない。3世代で世界チャンピオンになっている同門の稲垣柚香(至学館大)のほか、世界選手権59kg級で銅メダルを取って階級を上げた伸び盛りの元木咲良(育英大)もいる。

 国体で苦杯を喫した岩澤へのリベンジも果たさなければならないし、全日本女子オープン選手権で優勝した小玉彩天奈(MTX)はカデット(現U17)とジュニア(現U20)で、大学の先輩の源平彩南(アイシン)はジュニアとU23で、それぞれ世界一に輝いた選手。「だれと当たっても世界レベルの選手。初戦から気を入れて、集中して闘いたい」との言葉は、もっとも。上2人への対策だけをしていればいいわけではない。

▲2019年、19歳で世界選手権のマットに立った類家。4年ぶりの世界選手権を目指す

 アジア・チャンピオンに輝いたのは、3年前のことであり、「(非オリンピック階級の)65kg級のとき。もう考えることもありません。今は、日本で勝たなければ世界に行けない階級にいます」と過去は捨てている。チャレンジャーの気持ちを持っての全日本選手権。昨年の決勝のような終盤での逆転負けは、もう味わいたくない。「どんなにリードしていても、最後まで攻めるスタイルで闘いたい」。

 来年3月の卒業後もレスリングに打ち込める就職先を得たので、日本代表として世界へ飛躍できる環境が待っている。「オリンピックに出たいと思ってレスリングを始めました」という気持ちを胸に、パリ・オリンピックへのスタートラインに臨む。至学館大の栄監督は「類家の伸びしろは無限大」と評価しており、今大会での優勝と来年の飛躍を期待した。

(撮影=保高幸子)

 

 

 

 

 

 







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