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2022.12.28

【2022年全日本選手権・特集】勝つか負けるかよりも、「無失点」に関心が集まる圧倒的な強さ…女子50kg級・須崎優衣(キッツ)

 

(文=ジャーナリスト・粟野仁雄/撮影=矢吹建夫)

 「今年のご自身を一文字で表してください」-。2022年天皇杯全日本選手権、優勝直後の会見での予想外の質問にも「成長できたので成長の“成”にしてくだされば」と返せる頭のよさ。

 もはや、勝つか負けるかよりも、「失点しないか」に関心が集まるほどの圧倒的な強さを見せるのが女子50kg級を制した須﨑優衣(キッツ)だ。

 1回戦は11-0のテクニカルフォール勝ち、準々決勝は早大レスリング部の後輩になる伊藤海に5―0、準決勝は53kg級から下げて挑んできた入江ななみ(ミキハウス)を11-0のテクニカルフォールで下した。

 決勝の相手は、昨年優勝で連覇を狙う吉元玲美那(至学館大)。今年の明治杯全日本選抜選手権決勝での両者の対戦須﨑が勝ち、続くプレーオフでも須﨑の手が上がっている。

 須﨑が片足タックルから2点を先行した。その後、吉元にタックルに入られたが、タックル返しで4-0へ。さらにローリングも決めた。第2ピリオドでも加点し、吉元のタックルの反撃を冷静に処理して、結局、8-0で快勝した。

▲吉元のタックルで脚をさわらせてしまった須﨑だが、タックル返しで反撃。つけ入るすきがない!

最後まで攻め切って課題を克服できた今大会

 勝利の瞬間、小さくジャンプして喜んだ須﨑は「明治杯では相手を見て失点してしまった。(今回は)最後まで攻め切って課題を克服できた。まずは(パリ・オリンピックへ)第一歩」などと、失点ゼロの大会を誇らしげに振り返った。 

 準決勝で対戦した入江の姉・ゆき(自衛隊)は、結婚して田中姓で登場したが、櫻井はなの(育英大)に敗れたため、須﨑との“因縁の対戦”は実現しなかった。 

 さかのぼる2019年夏。東京オリンピック代表を争っていた須﨑と田中(当時は入江姓)は、須﨑が同年の世界選手権代表決定プレーオフに敗れ、オリンピック代表は絶望と思われた。しかし、田中が世界選手権の3位以内を逸して代表を決め切れず、首の皮一枚つながった。最終決戦となったこの年の全日本選手権で田中を破った須﨑がオリンピック代表となった。

▲金メダルを手に、満面の笑みを浮かべた須﨑

「まだ見たことのない景色を見たい」

 この日、須﨑は「オリンピックの予選が始まって、わくわくしています」と笑顔を見せていたが、ウォーミングアップ場のモニターでは東京オリンピックでの“金メダリスト仲間”である志土地真優と川井友香子が敗れる試合を見ていた。オリンピック連覇が容易でないことを実感したはずだ。

 それでも、「今年は、オリンピック・チャンピオンとして初めて臨む試合が多かったけど、緊張はしなかった。どんどん楽しくなっている。来年の明治杯、世界選手権も優勝してパリの代表を決めたい」と、どこまでも前向き。そしてサッカー・ワールドカップの中継で流行していた台詞の影響か、「まだ見たことのない景色を見たい」を盛んに口にしていた。

▲この2年間(国内外24試合)で、唯一の失点が今年6月の吉元戦。次にこのシーンが見られるのは、いつのことか?

 “奇跡の逆転”で東京オリンピック代表を勝ち取り、スター街道を突っ走り、今や「絶対女王」とも呼称される須﨑優衣は、「オリンピックで成長できました」と断言する。その様子からは金メダルがプレッシャーになった様子は見受けられない。

 敗戦後の会見で「50kg級は須﨑さんだろう、と世の中の人は思っているだろうけど、自分もいるということを証明したかった。それができなかった」と話した吉元のほか、入江ななみ・田中ゆき姉妹らのライバルがいる女子50kg級だが、今のところ、須﨑が大きく引き離しにかかっている。

 







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