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2022.12.30

【2022年全日本選手権・特集】大激戦を制した20歳、他選手の追随を許さずに突っ走るか…女子68kg級・石井亜海(育英大)

 

(文=布施鋼治)

 2022年全日本選手権の女子68㎏級は、大会前から大混戦が予想されていた。

 この階級で今年の世界選手権で2位になった石井亜海(育英大)を筆頭に、2021年世界選手権で東京オリンピック金メダリストのタミラ・メンサストック(米国)を破った宮道りん(日体大)、65㎏級で今年の世界選手権を制し、オリンピックを見据えて階級を上げてきた森川美和(ALSOK) 、昨年72㎏級で世界一になった古市雅子(自衛隊)、昨年までこの階級で全日本2連覇中の松雪成葉(ジェイテクト)…。

 強豪たちがひしめき合っていたのだから無理もない。

 そうなると、いやがうえにも波乱は起こりやすくなる。古市は初戦となる今井海優(自衛隊)との同門対決に敗れ、早々に姿を消した。宮道は準々決勝で、松雪は準決勝で石井にそれぞれ敗れ去った。その結果、決勝は石井と森川という、68kg級世界2位と65kg級世界1位の一騎討ちとなった。

▲決勝で65kg級世界チャンピオンと相対した石井亜海(育英大)=撮影・矢吹建夫

 試合が始まると、第1ピリオドから森川が積極的に攻撃を仕掛け、石井のミスをつくようにバックを奪い2ポイントを先制する。続く第2ピリオド、劣勢を跳ね返すべく、今度は石井の方からローシングルを仕掛け、2ポイントを奪い返す。これで2-2。

後半に勝負をかけた石井が貴重なポイント奪取

 スコア的にはイーブンながら、ルール上、あとからポイントを取った石井の方が優勢だ。その後、両者は相四つの体勢を続け、一歩も譲らない。階級の差か、森川の十八番であるプレッシャーをかけての場外押し出しは不発のままだ。

 こう着状況が続く中、残り時間30秒を切ったあたりで試合は再び動いた。もつれたところで石井はバックをとり1ポイントを加える。さらに残り時間8秒を切ったところでニアフォールまで持っていき、さらに2点を追加した。

 5-2。後半に勝負をかけた石井が接戦を制した。東京・安部学院高時代の2019年に、「17歳0ヶ月10日」という女子最年少(現ルール下)で62㎏級を制して以来、3年ぶり2度目の全日本選手権優勝だ。

▲強豪ブロックを勝ち抜き、パリに一歩近づいた石井=撮影・矢吹建夫

 大学生になってからは初となる優勝を、石井は「(試合終了の)ブサーが鳴った瞬間はめっちゃうれしかった」と振り返る。「でも、今はもう冷静です。今回はあくまでオリンピックに向けての一次予選。これでパリ・オリンピックの代表が決まったわけではないので」

オリンピック出場の前に、メンサストック(米国)へリベンジ!

 石井は、森川に許した失点は「相手の攻めで失点した2点ではない」と分析した。「自分が攻め(た結果)ミスを犯したうえでの失点だった。対照的に、追いついた2点は自分が攻めたうえでのもの。しかも、自分が一番得意な片足タックルで入ることができた」

 世界選手権の決勝でメンサストックに敗れたことも、今では前向きに捉えている。

 「今まではオリンピック出場を目標にしてきたけど、メンサストックに雪辱するという新たな目標ができた現在、オリンピック出場は、その次の目標になりました」

 世界選手権の1ヶ月前の8月にU20世界選手権に出場して優勝できたことも、石井にとっては大きなプラスとなり、今回冷静な試合運びができる要因となったという。

▲大きなステップとなったU20世界選手権=UWWサイトより

 「連続して世界の舞台で経験を積むことができた。経験という言葉で一くくりにしたらもったいないくらい、試合日に至るまでの緊張の仕方、食べ方、寝方、自分の感情のコントロールの仕方…、すべてをひっくるめて経験を積むことができた。簡単に言うと、修行みたいな期間でした。結果的に全日本選手権につながるための2大会だったと思う」

 混戦を抜け出た68㎏級の新女王は、他の追随を許さずに突っ走るのか。







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