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2023.02.23

【特集】スポーツ推薦制度が復活! コロナ禍を乗り越え、復活に明るい兆しが見えた東農大

▲今年度、東農大を支え部を守った布陣。左から三浦正司コーチ、小野木晃平、ズオン・スアン・アイン、飯山禮文監督

 

 スポーツ推薦制度がなくなり、部員不足によって存続が危ぶまれる状態が続いている東農大レスリング部。この3月に4年生が卒業すると、ベトナムからの留学生1選手のみの部員となってしまう。しかし、2024年度入学から推薦制度が復活することが決まり、4選手の枠を獲得できた。今年4月からの1年間をこらえ、再浮上へ向けての希望の光がともった。

 推薦制度がなくなったあと、飯山禮文監督が一般入試の学生の中からの勧誘に力を入れ、2018年東日本学生リーグ戦で二部リーグ優勝へ導いた。その後、コロナによって大学が閉鎖されるなどして部員の勧誘もままならず、せっかくの上昇ムードを生かせなかったが、推薦制度の復活にホッとした表情。

 この4月から、若い三浦正司コーチ(青森・八戸工大一高~東農大=2012年3月卒)に監督を譲って練習を任せ、総監督として部の立て直しに尽力することになった。「推薦枠の復活は本当にうれしい。でも、すぐに選手が来てくれるものかどうか、不安もあるんですよ」と笑うが、受け入れるための寮の生活環境や道場の練習環境の改善にも着手し、高校の監督が信頼し、快く送ってもらえるチームづくりを目指す。監督を若いOBに譲り、「ここからが、あらためて東農大の再スタートだと思って頑張ります」と言う。

▲かつては20数人の選手がしのぎを削り、女子の世界チャンピオンも汗を流した東農大レスリング場。最近は数人での練習が続いていた

 東農大レスリング部は1960年創部で、かつて東日本学生リーグ戦の一部リーグに在籍。全日本学生選手権や全日本大学選手権の王者が生まれ、学生連盟の委員長に就任する選手もいた。都心にあるレスリング場ということで利便性もよく、1990年代には企業チームの京樽(栄和人監督=当時)にも練習場所を提供して女子の世界チャンピオン輩出にも貢献した。

 2011年には4学年合わせて24人の部員がいて、順位浮上を目指していた。しかし、2012年を最後にスポーツ推薦制度が廃止され、部員が減り続けた。2015年には4年生3人のみへ。翌年、入れ替わりで新たに3人が入部し、首の皮一枚つながって二部リーグ優勝まで力を戻したが、コロナによって部員を集めることができず、再度、厳しい状況に追い込まれていた。

卒業する小野木晃平は「楽しいレスリング生活をおくれた」

 春の予感を感じさせる陽気となった2月18日、東京都世田谷区にある東農大のレスリング場では、三浦監督と2選手が汗を流していた。一人は4年生の小野木晃平選手。3月に卒業して社会人になるので今後の試合出場の予定はないが、2年生のズオン・スアン・アイン選手のため、練習相手を務めている。

 小野木は、コロナで部員集めもままならない時期、数少ない部員として部の存続を支えてきた。山形・山形南高校でレスリングをやっていたが、2019年の入学と同時にレスリング部に入部した選手ではない。レスリングは高校で終わりにし、サークルに入っていたが、2020年のコロナ禍で授業はリモートになり、サークルも活動中止。家にいることが多くなり、「何らかの活動をしたい」という気持ちから、2年生の終わり頃、再びマットに立つことになった。

▲卒業間近の小野木だが、後輩のため練習相手を買って出ている

 コロナで部員集めができなかった一方、コロナでキャンパス生活が停滞したことで入部を決意した選手が出てきたのだから、神様は東農大のレスリング部を廃部にしない“運命”を与えたのかもしれない。

 高校のときは「鳴かず飛ばずだった」と言う小野木は、大学ではコーチの理論だてた指導が合っていて、少ない部員ながら打ち込むことができ、新人戦Bグループで優勝も飾った。リーグ戦は部員不足で出場できなかったものの(2021年大会はコロナで中止)、「楽しいレスリング生活をおくれた」と振り返る。

4月からの新入部員を求めるズオン・スアン・アイン

 わずかな心残りは、部員を集められなかったこと。ポスターを作ったりして呼びかけ、見学に来て体験的にやった学生もいたが、いつの間にかいなくなり、部員を増やすことができなかった。推薦制度ができる来年へ向け、たった一人の部員となるアインに、一般入試で入学してきた学生を相手に入部勧誘を託することになる。

 「二部リーグには、レスリング未経験だった選手が多くいるチームもあります。部員集めのノウハウを学んで、何とか部員を増やしてほしい」と期待する。

 ベトナムからの留学生のアインは、当面、たった一人の部員として汗を流すことになる。日本の文化に興味があり、日本語を学んで留学してきた。スポーツは何もやっていなかったそうだが、レスリング選手の風貌のよさにひかれ、2年生になってから(2022年)にレスリングを始めた。

 実際にやってみた感想は、「きつい」-。それでも、コーチや先輩との練習についていき、自発的に体力トレーニングをして1年間をすごした。デビュー戦となった昨年11月の東日本学生秋季新人戦Bグループでは、東大の選手相手にテクニカルフォール負け。

▲ダンベルをつけて懸垂に挑むアイン

 それでもレスリングを続けたい気持ちは強い。2月末には千葉・館山市で行われる慶大の練習に単身で参加させてもらう予定で、「きつそうですけど、頑張ります」と燃えている。さすがに、一人の部員でやっていくのは大変なので、4月からは「だれか入部してほしい」と希望する。

「勉強とスポーツの両立を目指せる選手を取りたい」(三浦正司・新監督)

 4月から監督に昇格する三浦コーチは、部員が多くいた時代の選手で、リーグ戦の闘いの場は一部リーグ。入れ替え戦を余儀なくされることはあっても、二部リーグでは闘ったことのない選手だった。

 卒業後、大学職員の仕事につき、コーチとして、現役時代とは一変する部の大変な時期を支えた。二部リーグで、しかも部員不足の状態での闘いに、「歯がゆかったですし、選手のモチベーションを高めるのに苦労しました」と振り返る。

▲選手とスパーリングする三浦コーチ。部員が増えるまで、しばらくは体を張った指導が続きそう

 推薦枠の復活によって飛躍の可能性が大きく広がり、長いトンネルを抜けるのは間もなく。来月下旬の全国高校選抜大会(新潟市)に足を運び、勧誘をスタートする。「まず、推薦制度が復活したことを知ってもらいたいです」と話す。さらに、これまで女子選手(杉山絢海=2019年アジア・ジュニア選手権3位など)が在籍していたこともあり、女子選手の獲得と育成にも力を入れたいそうだ。

 ただ、“レスリングだけ”という選手を「取るつもりはない」ときっぱり。学業をおろそかにする選手に声をかけるつもりはなく、「勉強とスポーツの両立を目指すことのできる選手を取りたい。農大での学びもレスリングも、人生において大切な要素になりうる。卒業後、社会に出て通じる人間を育成していきたい」との希望を話した。

 コロナによって復活の道が閉ざされかけたが、希望の光が見えた東農大。2023年、さらに2024年以降の飛躍にかける。







2023年世界選手権/激戦の跡
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