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2023.04.19

【2023年JOC杯・特集】無名の存在からU20王者へ、淺野稜悟(静岡・飛龍)が大学選手4人を破って優勝

 

 若手選手の登竜門であるJOCジュニアオリンピックカップ。高校3年生から大学3年生の早生まれの選手で争うU20(旧ジュニア)の部で、高校選手が優勝することは、ときたま見かける。その場合、中学時代や高校1・2年生のうちからずば抜けた成績を出している選手というケースが圧倒的だ。

 今年の大会で、中学と高校1・2年生で全国制覇も決勝進出もしたことのない選手が大学選手4人を破って優勝する殊勲を挙げた。男子フリースタイル79kg級の淺野稜悟(静岡・飛龍)。全国優勝は2018年全国少年少女選抜選手権以来で、「高校に入って初めての全国優勝。うれしいです」と声を弾ませた。

 決勝の相手は、昨年のU20アジア選手権79kg級2位の成績を持つ高原崇陽(専大)。グレコローマンでは大学2位の実績を持っている。その選手を相手に、開始早々に4点を取って勝つとは、周囲は予想できなかっただろう。

▲昨年のU20アジア銀メダリスト相手に、開始から積極的に攻めた淺野稜悟(静岡・飛龍)

 決勝以外も実績のある強豪ぞろいだった。準々決勝は、昨年のU17-80kg級優勝で世界選手権も出場した浅野心(岡山・高松農高~国士舘大)、準決勝が佐賀・鳥栖工高の学校対抗戦レギュラーとして活躍していた飯塚康太(神奈川大)。フォールやテクニカルフォールでの圧倒的な勝利ではなかったが、着実に勝ち抜いた。

決勝までの試合間隔が短かった分、勢いを持ち込めた

 試合進行の都合で準決勝と決勝の間隔が短かったことに加え、準決勝の試合順の関係で、高原より10分近く短かった。スタミナ的に不利だったと思えるが、勝負は必ずしも数字では測れない。準決勝で強敵を破り、「その波に乗って挑めました」と振り返る。開始早々に4点となるタックルを決めたのは、気持ちの勢いを持ち込めたことが大きいだろう。「決勝までいったのだから、がんがん攻めていこうと思いました」という姿勢も作用したのは言うまでもない。

 第2ピリオド、6-2となったあと、淺野のタックルに対して高原がタックル返し。電光掲示板のポイントは一時的に6-6となったが、審判団の協議で、淺野のタックルが優勢として10-2へ変更。高原陣営がチャレンジし、やきもきする時間が流れたが、結局、淺野のタックルが有利となり、相手陣営のチャレンジ失敗によるポイントが加わって11-2。勝負を決定づけた。

 残り時間が1分20秒あったので、6-6と表示されたときは、「どうしよう…」という思いになったそうだが、10-2となって気持ちが上向いた。ビデオチェックのときは、「絶対に自分のポイントになると思った」と言う。

▲小学生6年生のとき以来、約5年ぶりの全国優勝。右は淺野の実力を伸ばした井村陽三監督

“地元”への凱旋を経て、インターハイ王者を目指す

 3月末の全国高校選抜大会は3位だった選手が、ここまで急に実力をつけた原動力は何か。淺野は「U20の試合では、自分が一番年下。挑戦者だったので、攻めるだけ、という気持ちがよかったと思います」と自己分析。親元を離れて飛龍高の門をたたき、オリンピック銀メダリスト(松永共広=2008年北京大会)を筆頭に多くの強豪選手を育てている井村陽三監督の下で、「しっかり練習できているからだと思います」と話した。

 神奈川県の逗子キッズを経て、中学は最近めきめき力をつけているNEXUS TEAM YOKOSUKAに所属。攻撃力を養った。今大会は“地元”とも言える場所での試合。無観客大会なので、本来は親が会場に入ることはできないが、大会役員として両親も会場にいて、熱いまなざしを向けていたことも「大きなパワーになりました」と振り返る。

▲表彰式のあと、大会役員として会場にいた両親の祝福を受けた

 この優勝で、U20世界選手権(8月、ポーランド)への出場が内定した。その前にインターハイ(7月、札幌)があり、ここで優勝して弾みをつけたいところ。3月末の全国高校選抜大会は優勝した吉田泰造(香川・高松北高)に2-6で敗れての3位。吉田は、淺野が勝った翌日のU17グレコローマン80kg級で優勝。両スタイルで通じる強さを見せている。

 「高校選抜(での吉田との試合)は後半ばててしまった。次はばてないようにしたい」。短い試合間隔をものともせず勝ち、スタミナ・アップは証明済み。リベンジの可能性は十分だ。国内の壁を乗り越え、世界への飛躍に挑む。







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