《JWFデータベース》 / 《UWWデータベース》 / 《国際大会成績》 / 《勝者の素顔=JWFフェイスブック》
(文=保高幸子)
データベースの成績表で、中学生時代から現在までずらりと並ぶ「1」の数字が圧巻の須崎。世界カデット選手権も3連覇している。「1」ではない数字は、初めてのシニアの大会となった2015年全日本選手権の「2位」だけ。今年からシニアの国際大会にも出場し、3大会連続で優勝という成績を残した。
「ヤリギン国際大会」(ロシア)では5試合中4試合が10-0以上のテクニカルフォール勝ち、残りの試合も6-0と圧勝だった。「クリッパン女子国際大会」(スウェーデン)でも優勝した後のアジア選手権(インド)では、さすがに研究されたのだろう、タックルが警戒されていた。それでも、4試合とも9-0以上での勝利と、得点能力の高さを証明した。
高校の同級生が「優衣ちゃんはいつもニコニコして優しい。初めて試合を見た時、違う人みたいに怖くて、本当にびっくりしました」と話す。ふだんは誰もレスリング選手とは気づかないような“あどけない女の子”。安部学院高校・商業科で簿記やキーボードの早打ちなどを勉強する普通の高校生だ。
しかし、「とっても負けず嫌いで、なんでも勝負にする」という証言があり、強い闘争心の持ち主でもある。
■テークダウンからの得点能力アップが現在の課題
そんな須崎だが、世界選手権代表選考となった6月の全日本選抜選手権では守りの固いレスリングを見せた。アカデミーの吉村祥子コーチは「ふところに入られることが多かったので、下半身の強化をしっかりやろうと話し、スクワットをフルに変えたりして、体が浮かないようにしてきました」と話す。その成果を見せた試合となった。
今はディフェンスに加えてグラウンド技を強化している。「タックルからテークダウンし、スタンドから再スタート、という繰り返しなので、もっと連続してポイントをとれるようになりたい」と、攻撃力アップに余念がない。
世界レスリング連盟(UWW)の女子48kg級の現在のランキングは、1位が登坂で、2位がマリア・スタドニク(アゼルバイジャン)、3位が須崎。須崎の最大の敵はスタドニクになる。
「スタドニク選手は登坂さんと同じく憧れの存在でした。でも、今は絶対に勝ちたい、倒したい」-。ランキング3位まで浮上し、彗星のように現れた須崎が、世界選手権では古参のスタドニクとどのような攻防を繰り広げるのか。世界のレスリングファンが注目している。
「世界選手権ではどんなレスリングをしたい?」との問いに、「攻めるレスリングです!」。日本の新しいスター選手の誕生を世界に見せつける。
《関連記事》
■2017年6月23日: 【全日本選抜選手権・特集】他競技の同僚に刺激を受け、世界選手権キップを確実に…女子48kg級・須崎優衣(JWA/東京・安部学院高)
■2017年5月13日: 【アジア選手権・特集】女子48kg級優勝・須崎優衣(JWA/東京・安部学院高)の声
■2016年12月31日: 【2016年全日本選手権・特集】5月は涙の初優勝、今回は終始笑顔の日本一…女子48khg級・須崎優衣(JOCエリートアカデミー/東京・安部学院高)
■2016年10月9日: 【岩手国体・特集】須崎優衣(千葉・JWA/安部学院高)が国体女王第1号! 「世界で勝つために出場した」
■2016年5月31日: 【明治杯全日本選抜選手権・特集】16歳で優勝! 東京オリンピックへの“一番星”輝く…女子48kg級・須崎優衣(JWA/東京・安部学院高)
■2016年2月14日: 【特集】史上初の大記録は途切れたが、世界へ飛躍する16歳…女子48kg級・須崎優衣(JWA/東京・安部学院高)
■2014年11月26日: 【全国中学生選抜選手権・特集】中学3年間で国内外無敗! 快進撃で6冠達成…女子44kg級・須崎優衣(JOCエリートアカデミー)
■2014年6月10日: 【全国中学生選手権・特集】須崎優衣(東京・稲付)がアカデミー初の3連覇達成!