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2013.08.26

【特集】世界選手権へかける(6)…男子グレコローマン120kg級・前川勝利(早大)

《世界選手権へかけるシリーズ》

男子フリースタイル 55kg級 60kg級 66kg級 74kg級 84kg級 96kg級 120kg級
男子グレコローマン 55kg級 60kg級 66kg級 74kg級 84kg級 96kg級 120kg級
 女   子  48kg級 51kg級 55kg級 59kg級 63kg級 67kg級 72kg級

(文=増渕由気子)

 男子の世界選手権代表に学生として唯一名を連ねる選手、それが男子グレコローマン120kg級代表の前川勝利(早大)だ。“キング・オブ・レスリング”を決める花形階級に、日本は若手の学生選手が挑む。

 前川は若いが、国際舞台の経験値は十分にある。レスリング界の雄・霞ヶ浦高(茨城)時代から高校の全国チャンピオン君臨。高校3年時(2010年)には大学生が主戦場のJOC杯ジュニアの部で優勝し、世界ジュニア選手権にも出場した。

 その勢いは続き、早大に入学して初め出場した全日本選抜選手権で初優勝を飾った。この階級は長年、新庄和寛(自衛隊)が引っ張ってきた階級。その新庄の後継者としては、頼もしい10代のスターが誕生した瞬間だった。

 大学3年となった前川は、これまでアジア選手権、2度の世界ジュニア選手権、世界学生選手権、ユニバーシアードと数々の“世界”の舞台を経験してきた。そんな前川であっても、「世界選手権は初めてなので、多少の緊張はあります」と表情を硬くした。

■国際舞台の経験は多いが、上位入賞なしの現実

 海外経験も増えてきた前川だが、まだ国際舞台ではまだ“価値ある白星”を挙げていない。「(2012年の)アジア選手権は5位でしたが、組み合わせがよかっただけ。各国はそのあとに行われるオリンピックの大陸予選に主力を出すために、アジア選手権は2、3番手の選手ばかりの大会でした」と分析し、5位の価値におごることはない。

 「とにかく1勝を挙げたい」と意気込む前川は、7月のユニバーシアードで一つの手ごたえを感じた。「自分の投げ技が決まったのです」と、欧州選手権3位の実績を持つアルメニアの選手から3点を奪った。

 結果は3-10で負けたものの、「海外の選手と四つに組んでも勝負できる」と、スタンドでの手ごたえをつかんだ試合だった。「北京オリンピックに出場した加藤賢三選手も首投げが得意だった。僕も投げが必要だと思っている」と、スタンドからの大技に勝機を見出している。

 7月下旬から9月初めにかけたは、全日本チームのメンバーとして韓国に遠征した。練習の内容はウエートトレーニングなど体力トレーニングがメーンだった。「一番きつかったのは、サーッキトです。また、坂道で大きいタイヤを転がしました。複数人で一つのタイヤを転がすメニューだったのですが、120kg級だけ一人でやりましたので、非常にきつい練習でした」。マット練習も新ルールに合わせたタイムで行われた。「3分2ピリオドは、試合と同じですが、7本1本勝負なども行いました」。

 前川は大学の授業の関係で予定より半分のスケジュールで帰国した。「学生なので、ふだんは授業、7月は試験、8月も短期夏季講習などがある中で練習しています。大学は大学で大変です(笑)。韓国で一日中レスリングのことだけみっちりできたのは、すごくよかった。いい合宿になりました」と、十分にトレーニングは積めたようだ。帰国後、早大の練習相手から「組み手の展開が早くなった」と評価されることもあるそうだ。

■全日本学生選手権は大事を取って欠場

 前川は先日の全日本学生選手権を欠場した。「世界選手権に集中するためです。以前、学生の試合でけがを負い、完治しないままアジア選手権に出たこともありました(その後、手術して長期間戦線離脱)。今回はコンディションを整えるために欠場を決めました」と説明する。その分、世界での1勝にこだわりを見せる。

 暇さえあれば、動画サイトなどで選手の研究をやっている。それを踏まえて、試合の展開も自分なりに形を作りあげている。「グラウンドで勝負するより、まずはスタンドです。組み手で相手を動かして、引き落としてばてさせる。追い込んでコーションを取って、そこにプラスして投げ技が決まれば」。理想の展開が本番で実行できるか。

 グレコローマンの120kg級は、ヨーロッパでは花形の階級。ハンガリーで行われる今大会は最終日に設定されている。日本が得意としているフリースタイルや女子などはすでに終わっている状況で、吉田沙保里(ALSOK)らがメダルを獲得し、勢いがついている可能性が十分。前川は「先輩たちが活躍した勢いに乗って、僕も1勝を挙げたいです」と“チーム日本”の流れで活躍することを誓った。

前川勝利(まえかわ・しょうり=早大)    初出場
 1992年5月24日、北海道生まれ、21歳。北海道・札幌ちびっ子教室出身。茨城・霞ヶ浦高卒。187cm。2010年に高校五冠を制覇。2011年には大学1年生で全日本選抜選手権優勝、全日本選手権2位の快挙。2012年アジア選手権で5位に入賞した。けがの治療で戦列を離れた後、同年にグレコローマンの学生2大会に勝ち、全日本選手権優勝。2013年はアジア選手権、ユニバーシアードに出場した。187cm。

 ◎前川勝利の最近の国際大会成績

 《2013年》

 【7月:ユニバーシアード(ロシア)】=12位(18選手出場)
2回戦 ●[Tフォール、(3-10)]Vachik Yeghiazaryan(アルメニア)
1回戦  BYE

 【4月:アジア選手権(インド)】=9位(11選手出場)
敗復戦  ●[フォール、2P(0-2,F1-4)]Murat Ramonov(キルギス)
 2回戦  ●[0-2(0-3,0-3)]Nurmakhan Tinaliyev(カザフスタン)
 1回戦  BYE

 【2月:デーブ・シュルツ国際大会】
敗復3  ●[0-2(0-1,0-1)]Mindaugas Mizgaitis(リトアニア)
敗復2  ○[2-0(1-0,2-0)]Parker Betts(米国)
敗復1  ○[2-0(1-0,2-0)]Panagiotys Gounaridis(米国)
2回戦  ●[フォール、1P1:51(F)]Robby Smith(米国)
1回戦   BYE


 







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